横須賀市は9月6日に行われる市議会の生活環境常任委員会で、公郷町にある小動物焼却炉の廃止を検討している旨を報告する。施設の老朽化などが主な理由。これに対して、市内の動物愛護団体は炉の更新や運転の延長を訴える要請活動を進める考えだ。
横須賀市は小動物死体処理事業として1962年に焼却炉を公郷町に設置。犬や猫などの愛玩動物やへい死獣(飼い主のいない動物)、有害鳥獣(アライグマやハクビシンなど)を火葬している。昨年度は年間約9200体で、そのうち愛玩動物は近年3000体前後で推移しているという。
市では焼却炉の老朽化が進んでいることや、業務委託している事業担当者の高齢化なども廃止検討の理由としている。今後の対応や時期については、現状では庁内で調整・検討を進めている段階だという。
「心のケアも考えて」
市の動向を受けて、NPO法人横須賀動物愛護協会(濱田千入理事長)は、稼働停止の撤回や炉の更新・新たな施設の建設などを市に要請する活動を始めている。
「現施設には焼香台や慰霊堂もあり、献花が絶えない。家族の一員ともいえる動物たちを見送り・弔うという”別れ”について、もっと深く考えてほしい。動物と暮らす高齢者も増えており、ペットを失った人の心のケアも大切」と話すのは、同協会の佐久間則夫さん。「先に廃止ありきではなく、動物の生きる権利と死の尊厳、”看取り”について福祉の観点から、所管部局で横断的に議論を深め、関係団体とも意見交換をすべきではないか」と語る。同会では、上地克明市長に宛てて稼働停止の撤回と炉の更新を求める要望書を今月19日に提出。近々署名活動も開始し、10月末までに少なくとも3000筆を集めたいとしている。
ペット火葬 現状は
ペットが亡くなったらどうするか。自治体または民間事業者に火葬を依頼をするのが一般的とされている。環境や公衆衛生等の問題もある中で、県や市によって扱いが異なっているのが現状だ。県内で専用炉を持っているのは横須賀市を含めて6市。持ち込み・収集の費用や返骨などの対応はさまざまだ。市では収集や作業の経費などを考慮して、2015年に手数料を改定。実質値上げとなったが、1体にかかる経費は6000円超で徴収する手数料はこれを下回っている。市議会では「民間事業者では数万円と言われており、民業圧迫になりかねない」「公で行う必要がある事業なのかを論ずる時期に来ているのでは」との意見も出ている。
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