株式会社「鈴直」代表取締役、県の卓越技能者に選ばれた 鈴木 浩さん 東逸見町在住 60歳
技術の伝承 気負わずに
○…優れた技能と後進の指導育成などの功績を讃える今年度の「神奈川の名工(卓越技能者)」に選ばれた。祖父が立ち上げた表具店で掛軸や巻物、屏風、襖などの仕立てや修理、室内の内装を手掛ける。
○…大正15年創業の家業を継いだ3代目。「家に帰ると祖父や父が作業をしていて。働くとはそういうものだと」。高校1年の時、その祖父が亡くなる直前に「浩、たのむぞ」と一言。歴史を繋ぐ責任感が芽生えた。職業技術校で技術を、職人としての心構えは父に教えを請い、仕事の傍ら技能コンテストや作品展への出品で腕を磨いた。神社仏閣や記念艦三笠の掛け軸・額などの仕立て直しを手掛け、近年では写真や漫画を用いた作品を発表。斬新な意匠も評価されている。表具に求められるのは、”主役”を引き立たせるバランス感。「時代変化に柔軟に対応しながら、伝統技術を継承していきたい」
○…表装の一級技能士をはじめ保有資格はざっと30以上。検定実技の指導者として登壇することも。生活様式の変化や後継者不足と業界を取り巻く環境は厳しく、「いかに底上げしていくかが課題」。専務理事を務める県の組合では、他都県の青年部との情報交換の場を積極的に設けるなど次世代育成と活性化に力を注ぐ。商機をつかむべく、ネットが普及し始めた頃にいち早く会社のホームページを自作。ブログの発信やデータ集計など、いつも新たな挑戦を楽しむといった風だ。
○…「関心のあるところには何でも顔を出して情報収集」。かつては横須賀JCなど地域団体にも所属し、今も複数の関連団体で役職や委員を務める日々。「忙しいほうがちょうどいい」。好奇心や多様な出会いを業界発展と技術継承にフィードバックさせていく。
|
|
|
|
|
|