クリスマスイブの夜、少女マーシャ(クララ)が叔父さんからもらった「くるみ割り」の人形。夜中にねずみたちに襲われたところをマーシャに助けられたその人形は王子になり、雪の国・お菓子の国に招待する―。12月24日(火)、古典バレエの名作「くるみ割り人形」をよこすか芸術劇場で上演する東京バレエ団。『くるみ割り王子』を演じるのは、3歳から小学6年生まで横須賀で育った秋元康臣さんだ。
プリンシパル(トップ階級ダンサー)として、かつての”地元”、横須賀への凱旋となるこの公演。「(芸術劇場は)自分にとって思い出深い場所。舞台から見えるアーチ状の客席の景色は海外の劇場のように壮大。ここで踊れるのは嬉しいこと」と顔をほころばせた。
12歳でロシアへ
バレエを始めたのは3歳ごろ。「習い事を」と母親に勧められたのがきっかけ。「周囲には女の子ばかりで、最初は行くのを渋っていたけれど、レッスンに入ってしまえば楽しくて。気づけば、親に怒られて『バレエを辞めるか?』と言われても絶対イヤだと答えていた」。横須賀学院小学校に在学中、通っていた都内のスクールでロシアへの留学を勧められ、6年生の半ばでボリショイ・バレエ学校へ。3年次に編入し、卒業まで約6年間、まさしく本場でバレエ漬けの日々を過ごした。寒くて暗い、言葉も心配―当初は心細い気持ちもあったが、レッスンを重ねて自分の身体が変化していく楽しさから「とても充実な時間を過ごせた」と振り返る。
いざ卒業となると、6年間が濃厚すぎて”やりきった”という燃え尽きのような感覚もあったが、「ロシアで学べたからこそ、見せられる」。いつしか、そんな自信が備わっていた。
帰国後はNBAバレエ団、Kバレエカンパニー、チェリャビンスク・バレエ団(ロシア)を経て、2015年から東京バレエ団に所属する。古典から現代作品まで幅広いレパートリーを持つ同団。「今は、なんでもやってみたい」。今年7月には「仮名手本忠臣蔵」を題材にした「ザ・カブキ」で欧州公演も。高い評価を得て、プリンシパルの存在感を日々増している。
新制作の華やかな舞台
くるみ割り人形は、自分が小学校低学年の時に初めて全幕に携わって舞台で踊った作品。所属する東京バレエ団の母体である「チャイコフスキー記念東京バレエ学校」(1960年開校)が、学校公演で最初に上演したのも、この「くるみ割り」。そうした歴史の中で、同団55周年記念のプロジェクトとして新制作されたのが今回の上演。芸術監督は横浜市出身の斎藤友佳理さん、マーシャ(クララ)を演じるのは、横浜市港北区在住の沖香菜子さん―と神奈川に縁のあるキャストが集まった。装置と衣裳をロシアで製作しており、華やかかつ壮大なステージも見どころだ。
「人形から王子に変わってからの躍動感を見てほしい」と秋元さん。クリスマスイブの夜の公演―という貴重なタイミングもストーリーに厚みを持たせるもの。”凱旋”の劇場で、バレエの魅力と楽しさを舞台から伝えていく。
![]() photo:Kiyonori Hasegawa
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