横須賀市は、国内の港に定期航路開設に向けた「ポートセールス」を展開している。貨物船や客船を誘致し、港を通じた地域振興や経済の活性化を狙う。
2018年12月には、横須賀港(新港町)と北九州港に新たなフェリー航路を開設することを発表。運航開始予定は21年春で週6便、1万6千トン級のフェリーで片道20時間30分かけて貨物などを海上輸送する計画だ。
手狭な用地
これに反対の意を示したのは、港運関係事業者からなる横須賀港運協会。現在、同港は自動車輸出のための運搬船や冷凍マグロの水揚げなど月10隻程度が接岸しており、協会では搬入・搬出車の安全の徹底や周辺への騒音に関して、近隣住民への対応も担ってきた。
市の説明によると、フェリーには貨物車両が最大170台乗船する計算で、出入りを合わせると340台がふ頭用地で行き来するという。同協会が危惧するのは、用地内と周辺道路の安全確保。「長年、細心の注意を払って運営してきた。ひとたび用地内で事故が起これば、物流がストップしてしまう。ふ頭用地は手狭で、国際貿易港として荷役作業にも影響がある」と話すのは同協会の鈴木稔会長。
立地にも問題がある。ふ頭入口は救急医療センターに面しており、道路はよこすか海岸通りと接続する緩やかなカーブ。トレーラーが2台3台と続くと見通しも悪く、以前にも付近で事故が起こっているという。「国内を見ても横須賀ほど官公庁や住居と隣接しているフェリーターミナルはない」と話す。「道路事情や騒音、交通量などを市はどれくらい把握・想定しているのか。地元自治会に対しても、決定事項の説明では納得できないと思う」と指摘する。
「共存共有は難しい」
一昨年末にこの計画が公表されてから、具体的な内容が協会に伝わったのは昨年秋ごろ。「協力できる部分があればと考えていたが、フェリーと共存するのは難しい」として、先月中旬に行われた港運関係の集まりで「計画の中断を求める」という立場を明らかにした。今月上旬には、市に協議の申し入れをする方向で「誰が安全を担保するのか。稼働させてから考える―では手遅れだ」と話している。
こうした関係団体の動きに対して、市担当課は「丁寧に話をして検討策も説明していきたい」と話すにとどまっている。
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