2021年7月に就航予定の横須賀港―北九州港のフェリー航路に関して、市議会の9月定例会でターミナル工事に向けた整備の補正予算案が計上されている。
ふ頭の利用計画案は、敷地約4・2haのうち、半分を既存事業者のエリアとし、約1・3haをフェリー用地、残りの約0・8haを事業者とフェリーで共用するというものだが、この場所を使用する港湾事業者による団体、横須賀港運協会は先月13日付で「フェリー就航計画の白紙撤回」を求める旨の要請書を市に提出。対立の構図が鮮明となっている。
トラック340台往来
同港では現在、外貿港として自動車輸出のための運搬船や冷凍マグロの水揚げなどで接岸。今後、ターミナル等の工事が始まると、事業者の利用が制限され、荷役作業や輸出台数にも影響が出るとみられ、「搬入・搬出車の安全徹底や夜間のトラック往来による周辺への騒音など、住民の生活環境にも支障が生じる」というのが反対の理由。さらに、新航路開設の発表(18年12月)以降、「図面等の説明会もしばらく行われず、協議する場もなかった」と市の姿勢に疑問を呈する。
会期中の市議会常任委員会で市側は「計画案では、フェリーと既存事業者との共存は可能であり、禍根を残すようなことがないよう丁寧に説明していく」と答弁、就航に関する工事を遅らせる選択肢はないとした。合意点を見つけられない場合「裁判などの法的な行動もあり得る」との考えも示す。
こうした状況に対し、同協会の鈴木稔会長は「フェリーありき、見切り発車で事が進んでいる。完成車輸出に支障があり、共存・棲み分けはできない。協会として工事中止を求め、何らかの対応策を講じていく」と話している。
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東京九州フェリーが運航する新しい定期航路は、新造した約1万5400tのフェリーで週6便、横須賀港と北九州港を約21時間で結ぶ。市では、近年の海上物流需要とドライバー不足をにらみ「ポートセールス」を積極展開している。
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