9月に「にんじゃいぬタロー」を発行し、絵本作家としてデビューした 渡辺 陽子さん 追浜町在住
「好き」を仕事にする
○…「最初は直視できなかった」。地元の書店で積まれていた自分の作品。嬉しさに加え、さまざまな感情が入り交じった。昨年9月に受賞した絵本新人賞の副賞が、製本の出版。作品用に何度も描きなおし、「心が折れそうになることもあったけれど、刊行に至るまで多くの人が関わってくれた」。チームプレイで走り抜けた感慨はひとしおだ。
○…本格的に絵本作りを”習い”始めたのが4年ほど前。遡ると、中学生の時に「挿絵はどういう人が手掛けているのか」と興味を抱き、高校生では海外の絵本に一目ぼれ。「絵本が好き」という域を超えないままだったが、「絵本作家になりたい、と腰を上げるタイミングが、その時だったんです」。講座では、与えられたテーマでその日に制作して発表することもあり、作る面白さ、絵本の奥深さにのめりこんだ。目標は作品を公募に出すこと。一昨年は一次も通過せず、初めての受賞がこの大きな賞。その報せにまず「どうしましょう」という慌てた気持ちになった。「受けてくれるんですよね、と電話口で聞き返されてしまった」と笑う。
○…作品のモチーフになった保護犬の「太郎まる」。自分もこの子に出会い、幸せを感じている。絵本でそんな気持ちを届けたい。自然と「犬が登場する作品を」と方向性が見えてきた。「にんじゃいぬ」のモチーフは、額にあった手裏剣のような柄。愛犬がストーリーを導いてくれた。
○…制作はシンプルに水彩の絵の具と色鉛筆。作業の合間の太郎まるとの散歩も発見と息抜きになっている。デビュー作の感慨もつかの間、次の作品の構想も。「少し物語の長い児童書や大人向けの絵本も手掛けたい」。作家としての一歩を歩み始めたところだ。
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