公共水域の芦名漁港で民間事業者による無許可の埋立、占用が行われている―。この問題が今月1日の3月定例議会の一般質問に上がった。マリーナ会社によるクルーザーの係留バース(桟橋)新設や、漁協による天然記念物区域での漁礁兼消波堤の設置工事に関するもので、小林伸行市議が取り上げた。
問題が表沙汰になったのは昨年末。同年夏ごろ、マリーナに隣接するマンションの住民らが無許可のバース設置(杭打ち)に関して行政指導を求めた。市からの対応がなく工事が進んだことを受け、市民団体の横須賀市民オンブズマンに相談。同オンブズマンは行政の監督権、使用料徴収権の不作為を問題視し、市に対して事業者から占有料を徴収することなどを求めた住民監査請求を行った。しかし市は12月に同社の占用を許可。オンブズマンの請求は2月に棄却されている。
天然記念物区域も掘削
小林市議の質疑で上地克明市長は、これら一連の問題行為を自身が知ったのは、昨年12月だったと答弁した。
マリーナのバース設置への対応に関連して、水域での他の無許可行為も浮上。同港を拠点とする漁協による消波堤建設工事が神奈川県指定の天然記念物区域(天神島・笠島及び周辺地域)で行われていたことに加え、市の所有する消波ブロックの持ち去りもあった。ブロック移設後は、マリーナのバース設置のほか公共水域での浚渫も行われていたという。市は「漁礁整備のための水域占用の要件を満たしており工事を許可をした。その当時は天然記念物区域にあたることが分からなかった」とし、市教育委員会は「自然文化財が適正に保全されていることを確認すべきところ、当該区域での工事を把握した一昨年10月ごろに、適切な対応が取れていなかった」と謝罪した。県の文化財保護条例違反への対応については、「事業者に詳細な工事内容を求めており、県教委への報告提出を指導している」とし、今後は県の判断に委ねるとした。
漁協による消波ブロック無断移設やマリーナ事業者によるバース設置について市は「原状回復の指示を出している」と回答。無許可の埋立に関しては、「許認可を行う県の調査検討中」とした。市長は最後に「芦名漁港は誰のものか」と問われると「公共であり市民全体のもの」と答えた。
この問題については、隣接マンションの管理組合から「無許可占用に対する行政の対応」に関する陳情もあり、今月15日の都市整備常任委員会で審議される。
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