市政報告連載第12回 上地市長は、市民に説明を 横須賀市議会議員 小林のぶゆき
民間マリーナ会社による芦名漁港の私物化問題について、新聞・週刊誌や本紙でご覧の方も多いと思いますが、改めてお伝えします。
この問題について、3月1日の市議会本会議で上地市長に問い質したところ、市長は不法行為を容認しました。私は市民の財産を守る代理人として市議に選ばれた人間です。見過ごすわけにいきませんので、皆様に経過をご報告いたします。
■漁協名義で消波提設置
昨年11月「芦名漁港が湘南サニーサイドマリーナ(株)に占拠されている」との通報を受け、私は調査を開始しました。わかってきたのは、巧妙に計画された同社による芦名漁港の乗っ取り計画でした。
19年3月、同社は大楠漁協を隠れ蓑にして「漁礁」の整備を開始しました。民間企業による消波提設置では許可が下りないため、漁協による漁礁整備を装って県と市に申請を出したのです。6月には許可が揃い、8月から工事を始めました。
■漁礁整備名目に浚渫
ところが、始まった工事は実際には漁礁整備ですらありませんでした。「漁礁用の消波ブロックを積むために作業船を入れる必要がある」との理由で3・5mの掘り下げを県に申請していましたが、実際には6m以上掘っていました。つまり、後日マリーナとして使う狙いで、水深を確保したとしか思えないのです。
■天然記念物を破壊
工事が進んでいた10月、地元住民から県に「工事箇所は天然記念物にかかるのではないか?」との通報がありました。早速、県は市に調査を指示しました。しかし市は、天然記念物範囲と工事図面を見比べることも、現地確認も、工事中止の指示もせず、事実上工事を黙認したのです。この結果、昭和天皇が新種のウミウシを発見した美しい自然保護区が掘られ、消波ブロックで押し潰されました。
■漁港が金儲けの道具に
こうして「漁礁」を名目に、市の4号防波堤と漁協の古い消波提をつないだことで、芦名漁港は波が立たない静かな海域となりました。しかも、大型クルーザーもOKな水深が確保されました。そこへ同社は、20年8月から海上マリーナを展開し始めたのです。海に60cmもの極太の杭を140本以上打ち込み、そこに浮桟橋をつないで、出来上がったのが海上マリーナです=左上写真右側。驚くべきことに、全て無許可で行われました。
なお、市に99万円の占用料を払うだけで、同社料金表によれば、年間数億円の売上が見込まれます。
■不可解な市長の対応
不自然なのは、市の対応です。
【1】19年10月に天然記念物を壊す計画と知りながら、工事を黙認
【2】20年4月に3号防波堤に市が積んでいた消波ブロックを漁協が盗んだが被害届も訴訟もなし
【3】8月に無許可で海上マリーナが設置され、近隣マンションの管理組合から市長へ抗議文が届いても放置し、返事もなし
【4】12月22日に浮桟橋の渡り口2か所の違法埋立を小林が通報したが「確認中」と言い続け黙認
【5】12月24日にこれらの違法行為を知りつつピアB・ピアCの占用を許可
【6】現在でもピアX・ピアAが不法占用のままだが撤去をさせていない――
自然破壊・窃盗・不法占用・違法埋立と次々に不法行為が明らかになりながら、なぜ上地市長は黙認するのか? あまりにも不可解です。
■市長「取消考えない」
これらの問題について、市議会で市長に質問したところ、次のような回答でした。
――「手続き的な瑕疵が解消されていますので、元に戻すよう指導することは考えていません」「営業努力でやったのかと思う」「ここまでの努力は、多として買ってあげなければならない」「完全な悪意を持ったものではなくて、いき過ぎたやり方をされる方なんだろう」――
まるで事業者の肩を持つような発言が相次ぎました。市長と同社との関係は知りませんが、みんなの海を不法業者に差し出した市長には、市民に説明する責任があるはずです。
【連絡先】野比2の13の18/【携帯電話】070・6640・3927
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