横須賀市は、追浜にある戦争遺跡「貝山地下壕」の一般公開を開始する。現地は2011年の東日本大震災以降、安全管理と整備工事ため閉鎖されていた。市は、市内の歴史遺産を巡る「ルートミュージアム構想」を進めており、この地下壕を北部地域の拠点として活用していく考えだ。
東京湾を見渡す高台に約1000本の杏の木が植えられている貝山緑地。この地下には、大きな戦跡が眠っている。
大戦末期、軍事機能移転のため貝山の丘陵内部に掘削されたのが「貝山地下壕」。総延長2000m超と言われており、A地区・B地区・C地区の3つに分かれた多層構造になっている。
壕の全体は素掘りで、階段や通路はコンクリートや石で固められているという。掘削の時期や用途などの全容は分かっていないが、生活の痕跡を見ることができるほか、戦闘機の格納スペースや司令部と思われる会議室も存在している。
平和学習に活用を
市内に現存する戦跡のひとつとして、市民有志団体「貝山地下壕保存する会」が20年ほど前から学習会などの活動を始め、戦争遺跡保存の全国ネットワークにも参加。追浜地域で活動するNPO団体「アクションおっぱま」などと共に保存活用に向けて働きかけを行っていた。しかし、11年の東日本大震災後、安全面の配慮から立ち入りが制限。横須賀市は、崩落や風化の対策、電気設備工事などを行っており、6月ごろから内部の130m程度を一般公開する。
市は工事と並行して地下壕を案内する市民ガイドの養成講座を実施しており、現時点の受講者は3団体と個人の44人。安全確保の点から見学に関しては、認定ガイド同伴での入壕を原則としている。各ガイド団体では、ツアーなどを企画していく考えで、アクションおっぱまの昌子住江理事長は「今後、戦争体験者は少なくなっていく。このような戦時の遺産を継承し、体験を通して平和について考えてほしい」と話している。
歴史散策の拠点に
市では、貝山地下壕の軍事施設としての歴史的価値や高度な掘削技術に注目。市内の歴史遺産をつなぐ「ルートミュージアム構想」を展開していく中で、67ある構成文化財(サテライト)のひとつとして活用していく。
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