新型コロナの感染拡大に伴い、学校現場ではさまざまな対応に迫られている。登校に不安があり休校する児童生徒も一部いる中で、保護者からオンライン学習を求める声もあるが、学校で使う端末の持ち帰りはできない。市教育委員会はその理由を「各家庭の通信手段や破損時の対応が整っていないため」と市議会のコロナ対策協議会で報告した。
家庭の通信環境を理由に
「自主的に登校を控えている家庭もあるが、学びの保障がされていない」「登校不安な子どもだけでなく、不登校の子にもオンライン学習の環境は必要」―。市内の公立小中学校では、9月6日から通常日課の授業となっているが、子どもへの感染も懸念されている中で、そんな声が保護者から上がっている。
市内の中学校では、国のGIGAスクール構想の一環で今年4月から生徒に端末(パソコン)を配布しており、学習ドリルなど授業での活用を始めている。小学校では8月末に10校で端末配備が完了したが、残りの36校と養護学校では11月末になる予定。現時点で、小中学校とも端末の持ち帰りは行っていない。
オンライン学習の実施について、市教委は9月13日の市議会新型コロナ対策検討協議会で報告。持ち帰り不可の理由を、Wi―Fi等の通信手段が確保できない家庭が各校1割程度あることや紛失・破損時の対応などが整備できていない、ICT機器の習熟度が足りていないため―と説明した。これらの課題に、委員からは「この1年間どのように進めていたのか」との質問もあったが、研究や検討を行っている段階で、まずは、授業などで児童生徒が実際に使って端末に慣れたうえで活用を考えていくと答えた。ただ、一部の学校では実験的に家庭の端末で授業の配信を行っており、近日中にルールや注意点をまとめて共有する方向だという。
近隣自治体を見ると、三浦市は小中学校の希望者にタブレット端末を貸し出し、授業の様子をオンライン配信している。eラーニング教材の早期活用も進めているところだという。逗子市の小学校も家庭や貸し出しの端末で授業を配信。葉山町は小中学校で使用している各自端末の持ち帰りを進めており、課題の提出や朝の会の参加などの取り組みを始めている。小中学校ともに隔日登校の横浜市は、学校によって活用の度合いが異なるが、在宅日となっている生徒が持ち帰った端末でオンライン学活や小テスト、授業を行っているケースもある。
文部科学省は9月1日時点での公立学校の対応状況を全国の教育委員会に調査。家庭学習内容について、デジタル教科書・教材を活用している自治体は30・7%、双方向型のオンライン指導の実施は30・5%だった。
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