日本を代表するアニメ監督、宮崎駿氏の作品『風の谷のナウシカ』に登場する架空の飛行装置「メーヴェ」をモデルに製作した飛行機を横須賀で展示する大胆なプロジェクトが進められている。旧日本軍の有人ロケット戦闘機「秋水」を研究する市民グループ「秋水史料研」(佐久間則夫代表)がモデル機開発の中心人物であるメディアアーティストの八谷和彦氏と連携、実現に向けて準備している。来年2月に横須賀市産業交流プラザで開催予定の「秋水展」の目玉にしたい考えだ。
「秋水史料研」のプロジェクト
同アニメ作品の中で主人公のナウシカが操縦する機体はジェットエンジン付きのグライダーという設定。これを実機として再現を試みたのが八谷氏だ。2003年に開発チームを立ち上げ、13年にジェットエンジン搭載の「M―02J」と命名した無尾翼機を完成させた。機体は幅9・6m、全長2・7mで重量は約100kg。16年に北海道滝川市で、19年には米ウィスコンシン州のオシコシで試験飛行に成功している。
八谷氏は、旧日本軍が浦郷町にあった海軍航空技術廠で開発した有人ロケット戦闘機「秋水」が「M―02J」と同じく水平尾翼を持たない無尾翼機であることに注目。独自の研究を進める中で、「秋水」に関する資料展示などを精力的に行っている同史料研の佐久間代表と交流を深め、今回の企画アイデアが浮上した。「大空へのあこがれを多くの人と共有したい」という佐久間代表の呼び掛けに八谷氏が応じてくれたという。
現時点でネックとなっているのが、会場までの運搬・設置費用だ。機体を解体して搬入する予定だが、約75万円の経費を見込んでおり、これを賄うためにクラウドファンディングを近く立ち上げて協力を呼び掛ける。
3つの機体来年2月に展示
「秋水」は、太平洋戦争末期に旧日本陸海軍が共同開発し、追浜の海軍航空隊飛行場から試験飛行に飛び立ったロケット戦闘機。燃料消費後はグライダーのように滑空しながら地上に舞い戻るというユニークなアイデアが採用されたが、実戦投入されないまま終戦を迎えた。これの研究をライフワークにしている佐久間代表が中心となって企画している「秋水展」では、関連史料を集めて一般公開している。今年4月には横須賀美術館で貴重なロケット部品や設計図面を出品し、多くの来場者を集めた。
6回目を数える来年2月の展示には、「M―02J」のほかに、「秋水」の10分の1スケール模型と逸見出身のファンタジー小説作家、佐藤さとる氏が手掛けた作品『わんぱく天国』に登場するグライダー「按針号」のイメージモデル(主翼約6m)も並べる。会期は2月12日(土)から20日(日)を予定。
「秋水展」に関する問い合わせは、同史料研の佐久間代表【携帯電話】090・4452・7754
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