横須賀市は、まちづくりの1つに掲げる「海洋都市推進」に向けた産官学と金融機関の共創事業を来年からスタートさせる。企業版ふるさと納税を財源に、水中ドローンを中心とした海洋関連のテクノロジーを活用して、技術開発や人材育成、水産業の活性化を図るほか、脱炭素社会の実現をめざす。
市は2021年から長坂の県立海洋科学高校、慶應義塾大学SFC研究所、長井町漁業協同組合と連携し、水中ドローンを使った調査を小和田湾で行っている。調査対象は、ウニやアイゴなどの食害によって藻場が減少・衰退し、生態系や沿岸漁業に大きな影響を与える「磯焼け」の現象。IoTを活用した市の「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環として、磯焼けの原因を探りながら、次世代の水産業を担うドローン操縦士の育成・輩出にも努めている。
水中無人機の国産化へ
共創事業では、こうした取り組みをさらに拡大。4本柱で新事業を展開させていく。
まずは「ブルーテック」と呼ばれる海洋分野全般の技術・知識を持つ企業や研究機関、電波・情報通信技術の研究開発拠点であるYRPを有する横須賀の地の利を活かし、共同事業体「ヨコスカ・ブルーテックコンソーシアム」を形成。市内企業などを対象に来年から技術公募を行い、海外製が多い水中無人機の研究開発をオープンイノベーションで同コンソーシアムとともに推し進め、国産化をめざす。
次に水中・空中ドローンの活用を後押し。海洋調査や磯焼け対策、産業の高収益化、水産事業者のドローン導入などを支援していく。
海洋分野の人材育成にも注力。海洋科学高での授業のフィードバックをもとに、汎用性の高い教育プログラムを作成し、他校での海洋教育に活用していく。
そして、市内事業者へのドローン利活用も促進。シンポジウムを通じた海洋技術の最先端情報の発信や、デモ体験会を開くなどして広く浸透させる。市は「ひいては市内産業全体の活性化、関連した新産業の創出、ブルーカーボン(海洋生態系が吸収する炭素)の促進による脱炭素社会の実現にもつなげていきたい」と方針を示した。
寄附を財源に展開
事業の財源は、三井住友信託銀行から企業版ふるさと納税として寄附を受けた3千万円が充てられる。12月7日には、市役所で寄付に対する感謝状贈呈式と事業概要説明が行われた=写真。
同行は「『産学官金』連携によるオープンイノベーションの推進を通じた地域課題解決型プロジェクトの組成、実装化をめざす取り組みをサポートしていく」としている。
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