北条家が権力を巡る戦いを制し、鎌倉幕府で執権となるまでを描いた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、12月18日に最終回を迎えた。幕府創設を支えた三浦一族ゆかりの地である衣笠では今年、観光協会関係者や商店主らがイベントや名物づくりで地元の盛り上げに奔走。県内外からの観光客でにぎわいを見せた。その取り組みの成果や課題、今後の展望などについて、企画の中心を担った山城ガールむつみさん、衣笠観光協会の鈴木一男会長、衣笠商店街振興組合の佐々木康晴副理事長に聞いた。(以下、敬称略)
-衣笠地域では今年、三浦一族に関するパネル展やウォーキングツアー、ワークショップの開催、横断幕掲出やJR衣笠駅前にある観光案内板のリニューアルなど、多彩な取り組みが展開されました。
鈴木「衣笠商店街やゆかりの寺社などを中心に様々な催しが行われ、衣笠の名を広く知ってもらうことができたと手ごたえを感じています」
むつみ「とくにパネル展は想像以上に、多くの方に来てもらえました」
鈴木「7月6日から9月4日までの約2カ月で6千人超の来場がありました。なかには京都などから鎌倉を周遊して衣笠へ足を延ばしたり、三浦姓の方がルーツを辿るために訪れたり」
佐々木「県外から観光に来てもらえるなんて、これまでの衣笠からは想像もできませんでしたね」
-パネル展にあわせて商店街でもコラボ企画が行われ、にぎわいました。
佐々木「30を超える店舗が参加して、横須賀美術館『運慶展』のチケット半券を持参すると特典が受けられたり、3個で333円といった三浦一族の”三”にちなんだサービス、”出陣メニュー”と銘打ったグルメや家紋が入った商品を用意したり。うちは三浦一族ゆかりの名所の地図をプリントしたメガネ拭きを販売しました。クイズラリーを楽しみながら商店街周辺を散策する『きぬさんぽ』も好評でした」
-商店主など、地域の意識変化を私も感じました。
むつみ「地元の皆さんがアツかったです。商店街関係者向けのガイドツアーをした際に『面白い』と楽しんでくれました。意識変化はそんなところから始まったと思います」
佐々木「私も参加しました。初めて知ることが多く、とても楽しかったです。周囲には『どうせ衣笠は何もないから』と諦めている人も少なくなかったですが、大河を機に開発した新商品が評判となったことで意欲を見せている店もあります。全面協力してくれた衣笠行政センターにも感謝です」
むつみ「横須賀市との連携は欠かせません。こうした民間の熱意を行政にもぜひ知ってほしいですね」
鈴木「市が発行・編集、むつみさん執筆の歴史冊子が今年発行されましたが、地元としてもこういった分かりやすい虎の巻が欲しかったんです」
むつみ「ありがとうございます。三浦一族に興味を持った地元小学校の依頼で芝居の脚本も書きました。子どもの頃から『衣笠はすごい街なんだ』と感じてもらうことが、ひいては将来の定住にも結び付くと思っています」
盛り上がり無駄にしない
-一方で課題も見えたと思います。
佐々木「にぎわい作りだけでなく、商店街の存在や魅力をどう知ってもらうか、各店の売り上げにどう繋げていくかが今後の課題です」
-放送が終了し、盛り上がりを一過性のものにしないためにも、2023年の動きが重要ですね。
むつみ「火を消さないように、継続させなければなりません」
佐々木「今年のハロウィンイベントでは『三浦おおすけ祭り』として、三浦一党武者行列で使用する甲冑を身にまとった武者13人が商店街を歩きました。合言葉は『トリックオアトリート』ではなく、数え歌にもある『三浦大介、百六つ』。子どもたちも『かっこいい!』と喜んでくれたので、こうしたところから盛り上げたいです」
鈴木「基盤ができたので、さらに一歩進めたいです。大介といえば、どのように作品で描かれるのか楽しみだったのですが、第1話ですぐ死んでしまってちょっとショックでしたね…」
-今後の具体的な構想やアイデアがあれば教えてください。
鈴木「人気だった企画展の第3弾開催や鎧の着付け体験・商店街の散策をセットに横須賀市のふるさと納税返礼品として打ち出していきたいです」
むつみ「8年後の2030年に衣笠合戦から850年を迎えるのにちなんで、各地から三浦姓を集めた『三浦さんの集い』というのはどうでしょう?また、横須賀には自然・人文博物館はありますが、歴史資料館はないので常設展示できる場もあったら。常に話題になることを考えていきたいですね」
佐々木「プライドや自慢・自信を育てていける街にしたいです。商店街、観光協会、地域団体、町内会、行政を巻き込んで話し合っている企画があるので、ぜひ来年実現させたいです」
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