《電線風景（トンネル）》（１９５２年頃）油彩・カンヴァス、横須賀美術館蔵
戦後まもなく、田浦にアトリエを構え、独創的な作品を描き続けた洋画家・朝井閑右衛門（１９０１-１９８３）。今年、没後40年となることから、その生涯をたどる企画展が横須賀美術館で開かれる。
本郷洋画研究所で学び、30代前後、小田原で暮らしていた時代の油彩、文部省美術展覧会で文部大臣賞を受賞し、出世作となった「丘の上」（油彩）、戦中に渡った中国での水墨画など画風も変化。田浦のアトリエでは、そこから見える電線の交差を描いた作品を多く生み出したことでも知られる。このほか、ガラス台鉢やドン・キホーテ、薔薇などモチーフにすることも多く、晩年は鎌倉に居を構えて画業を全うした。
生前は画集の制作や展覧会の開催をすることはなく、特異な生涯を貫いた朝井。横須賀市では、遺族から寄贈された油彩約３００点、水墨画約２８０点のほか素描や資料を所有しており、同館地階の朝井閑右衛門記念室で年４回、テーマを設けて作品展示をしている。今回の企画展では、油彩や水墨画、素描の代表作に加え、朝井がこだわっていた鎌倉のアトリエの様子を紹介するほか、イーゼルやパレット、収集していた骨董など約２００点を紹介する。
会期は４月22日（土）から６月18日（日）、企画展に関連した講演会やコンサート、学芸員によるギャラリートークも予定している。詳細は同館【電話】０４６・８４５・１２１１
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