市内のホタル再生に長く貢献し、活動の記録集を制作した 小出 和弘さん 池上在住 76歳
ホタルの灯 未来へつなぐ
○…約40年にわたり市内でホタルの再生に携わってきた。孵化に合わせ、例年5月下旬にはふれあい下水道公園(池上)で観賞会を開くなどホタルの魅力を伝えている。活動記録の制作には取り組みを支えてきた妻の勧めもあった。「保護に熱中するあまり家の中がホタルだらけになってしまい、家族には迷惑をかけてしまった」と頭をかきながら話す。
○…それほど活動に真剣に取り組んできた背景には幼い頃の記憶がある。池上地区で毎年6月頃になると一面に広がっていたホタルの灯を目の当たりにした時の興奮は忘れられない。「あの素晴らしい体験を子どもたちにも」という想いが活動の原動力だ。三浦半島の谷戸を歩きまわってホタルが生育しやすい環境を探し、保護した個体は体長や食べたエサの量などを毎日記録した。
○…再生に向けては度重なる困難にも見舞われた。行政からのサポートが得られなくなった際は活動がストップし、それまで育ててきた環境を手放すことに。豪雨により幼虫が流されてしまったこともあった。しかし4年前、地道な活動がようやく実を結び、同公園で160匹のホタルの成虫を確認。夢中になる子どもたちの様子を見て「昔の自分を見ているようだった」と達成感をかみしめた。
○…「自然環境に興味を持ってくれたら」という想いのもと池上小学校でたびたび校外授業を受け持つ。実際に山や川を訪れて自然の循環について説明し、その魅力を次世代へ受け継ぐことが目標だ。「自然を壊すのも守るのも人間なんだ」という言葉には「君らには守る側の大人になってほしい」というメッセージが隠れているという。自然の素晴らしさを知る「原体験」をホタルを通して与え続ける。
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