走水海岸の潮干狩りは、アサリの漁獲量減少や生息環境の変化等の理由によって4年連続の中止となっている。原因は複合的だが、海の水質改善が一因である可能性がある。
「前はたくさんいたのに、今じゃ夕飯のおかずの分しか採れないよ」。例年走水で潮干狩りを取り仕切ってきた横須賀市東部漁業協同組合の長塚勝弥さんは長引く不漁に困惑した表情を浮かべる。同海岸での中止は新型コロナの影響もあり4年連続。県内でも数少ない潮干狩りスポットとして知られ、コロナ禍以前では一日当たり約2000人が訪れていたという。
各地で同じ状況
アサリの不漁は走水に限ったことではない。海の公園(横浜市金沢区)では潮干狩りこそ実施しているものの、関係者は「(漁獲量は)年々少なくなってきているが今年は特に少ない」と危機感を募らせる。国立水産研究・教育機構が発行する「フラニュース vol.71」には、全国のアサリの漁獲量が1983年の年間16万トンをピークに減少し、2020年には約4千トンにまで落ち込んでいることが記されており、不漁が全国規模であることを示している。
観音崎自然博物館学芸部長の山田和彦さんは「個体が小さくなっていることもポイント」だと話し、繁殖したアサリを安全に育てる対策の必要性を説いた。
対策のジレンマ
走水での不漁の原因について、長塚さんは「食害」と「生育環境の減少」を挙げている。近年急激に増えたサキグロタマツメタという貝がアサリを捕食するのに加え、海草のアマモが大量に繁殖することでアサリの住処である砂地が奪われているという。
アマモはアサリが養分とする有機物を多く含む濁った海水には自生しないといわれており、東京湾の水質良化が今回の事態を招いている可能性もある。海の保全とアサリ保護の板挟みの中、対策には悩ましさを抱える。
同漁協ではアサリの稚貝を保護する試みが行われ一定の効果がみられた時期もあったが、コロナ禍を含む中止期間で事業者は遊漁船や昆布販売など他の業務に活路を見出しており、今後抜本的な対策に乗り出すかどうかは未定だとしている。
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