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満願寺収蔵庫 「大神」が50年ぶり改修工事 継承と祈りの場 2つの役割
昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で注目を集めた三浦一族ゆかりの禅寺で、佐原義連が開基とされている満願寺(岩戸1の4の9)には、義連が自らの姿を彫らせたとも伝わる観音菩薩立像と地蔵菩薩立像が安置されている。国の「重要文化財」指定を受ける、これら”日本の宝”を収める収蔵庫の改修工事が約50年ぶりに行われ、地元横須賀の建築総合プランナー「大神」が施工を担当した。今回の工事に至る経緯、仏像を保存して後世に伝える意義などを同寺の永井宗直住職と同社の岩崎次郎社長が意見を交わした。
永井 満願寺の収蔵庫には大きな御仏が4体収められています。2m30cm、8尺を超えるものもあり、ここまでのスケールの立像はなかなかありません。かつての発掘調査で鎌倉時代の瓦が大量に寺の敷地から発見されたこともあり、三浦一族の供養堂として機能していたことが推察されます。瓦と立派な仏像は、幕府直轄の寺院であった証といえるでしょう。
岩崎 満願寺は岩崎家の菩提寺です。住職がこの場所を守ってくれているという安心感があります。幼少期の記憶ですが、かつて仏像が裏山にあるお堂に祀られていたことを覚えています。
永井 1970年代後半、現在の場所に収蔵庫が建てられましたが、経年による老朽化が著しいことに加え、横須賀美術館で昨年「運慶展」の企画がありました。所有するすべての立像の展示を求められ、像を外に出すことになり、このタイミングで大規模な改修に踏み切ることにしました。ただ、国重文であることから工事には様々な制約があります。一つひとつクリアしていくには、勝手知ったる地元の施工会社に依頼したい、そう思い大神さんに声を掛けました。
岩崎 当社では、特殊な技術を必要とする寺院の建設や改修を求められることが近年増えています。この分野のノウハウの蓄積も進んでいます。今回のケースでは仏像を守ることが第一義。仏像の躯体を傷めないためにガスの発生しない建材を選び、機械換気で風を通して湿度を下げる設計に留意しました。具体的には室内化学物質調査データに基づき、木材の状態や将来にわたる吸湿状況を見込んで施工しています。文化庁や横須賀市と相談を重ね、調査と検証を繰り返して完成にこぎつけることが出来ました。仕事を通じて成長する─。今回はそんな機会をいただきました。
永井 満願寺の立像は建造から約840年が経過していますが、保存状態が良好です。文化財として後世に継承していくことは大きな役割のひとつですが、そもそも魂の入った仏様であり、祈りの場であります。今回の改修にあたり、その両面の目的を果たすことを収蔵庫に求めました。文化庁に現状変更を提出して、屋根も瓦葺きとしています。これにより本堂との親和性も高まりました。そうした面からも大満足の仕上がりです。
岩崎 技術を活かして歴史を守り、社会の一助となる。日々の仕事を通してこれからも追求し続けます。
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