地域活性化に向けた連携協定を結んでいる横須賀市とNTT東日本神奈川事業部は、マリンスポーツを軸にしたワーケーションプログラムの開発に乗り出した。ウインドサーフィンの世界大会が開かれている津久井浜海岸を舞台に、NTT社員が実体験することで有用性を検証し、事業化に向けた判断材料にしていく。
ワーケーションは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語。新型コロナの流行を機に、勤務場所を選ばないテレワークの普及に伴い、働きながら休暇を楽しむ新しいライフスタイルとして話題を呼んだ。市とNTT東日本はこれに着目し、都心から程よい距離で仕事と休日を同時に充実させることのできるワーケーションの可能性を追求する。
津久井浜海岸はウインドサーフィンをはじめとするマリンスポーツのメッカとして広く知られているが、これ以外の来訪目的に乏しく、滞在時間が短いことや消費につながっていないという課題がある。今回の実証を通じて、利用者の生産性の向上やリフレッシュ効果とともに、地域経済への波及などを多面的に検証していく。
具体的には同海岸の目の前にあるウインドサーフィンショップ「ティアーズ」の2階にワークプレイスを開設し、ウインドサーフィン、スタンドアップパドルの体験プログラムを用意。仕事と余暇の切り替えをスムーズに行える環境を用意して利用者を迎える。
実際に現地を訪れてプログラムを体験した同社横須賀営業支店長の児玉信藏さんは、「働く場所を変化させることで気分転換できる」と好意的に受け止める。新しい交流が生まれることにも期待を示した。
実証プログラムは来年3月まで行う予定。
「テレワーク」定着したか
ワーケーションの前提となるテレワークだが、新型コロナ騒動から落ち着きを取り戻した今はどうなっているのか。横須賀市内の状況を調べた。
市と連携してワーケーションの実証に取り組むNTT東日本では、テレワークが勤務の基本となっている。通信インフラ企業として、新しい働き方を率先垂範。社員が働き方を自由に選択できるようにしているという。
その一方で、コロナ禍で否応なく導入に踏み切った企業の大半が以前の形に戻っているようだ。
個人レベルでは、通勤の煩わしさがなく、仕事に集中できることをメリットとする声は根強いが、経営側は行動のチェックや管理の難しさ、成果に対する判断がつかないことなどを理由に出勤を重視する傾向にある。接客を前提とする店舗勤務者との不公平感をなくすために、全員出社としている事業所もあった。ただ、リモート会議などは広く普及し、場面に応じて上手に活用することで業務の効率化を実現している人は増えている。
大手住宅設備メーカー勤務で市内在住の50代男性は、コロナ禍以降、在宅勤務を継続。「ツールが発達したため、世界中のどこの人といつでも会議ができる」と話すが、新人若手への指導や社員の些細な変化が感じられないといったデメリットも打ち明けた。
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