全国的に不漁が続く養殖海苔。国内屈指の好漁場として知られる走水で海苔養殖を営む「丸良水産」(走水1の4地先)でも、収穫量は「近年で一番獲れた」7年前の8割にまで落ち込んでいる。そうした中販路開拓に挑戦するなど、家業を継承する若き夫婦が奮闘している。
従来の海苔の収穫時期は11月下旬から3月までの冬場。しかし、近年は魚による食害のほか、温暖化などの影響で秋季の海水温の低下が遅れ、十分な大きさに育ち切らないノリ葉が増えてきている。同地域では生き残りを図るため、遊漁船や昆布販売など他の業務に活路を見出す事業者も少なくない。
後継不足でも光
水産業界では後継者不足も深刻化しているが、走水地域では若い世代の活躍が目立つ。丸良水産では代表である長塚良治さんの次女・明加里さんと夫・光さん夫婦が6年前に結婚を機に脱サラし、継承を見据え家業に参画している。
働く父の姿に憧れを抱き、幼い頃から漁師の仕事に魅力を感じていた明加里さん。女性は正組合員になれない所属漁協の決まりから一時夢を断念し、大学卒業後は大手住宅メーカーに就職した。
しかし、海に関わる仕事をしたいという夢を捨てきれず、当時婚約者だった光さんに「長塚家で漁師になるのはどうか」と持ち掛けた。「自分のペースで良いモノを作る仕事がしたい」とかねてから自営業や一次産業に関心があった光さんは明加里さんの提案を快諾。漁家の一員として新たな一歩を踏み出した。
ブランド力を強化
気候などにより収入が不安定になりがちな漁師の事情を踏まえ2人は「仕事の幅を増やしていくことが大切」という理念のもと挑戦を続ける。
正規品のほか小売りしにくい「訳あり品」もをふるさと納税の返礼品として活用するほか、2021年からは海ぶどうの生産も開始。「江戸前海ぶどう シーマスカット」として売り出し、地域ブランドとして知名度向上を図っている。明加里さんは飲食店への飛び込み営業も果敢に行ってきた。漁師になる夢は道半ばだが「大好きな海に携わることができて幸せ」と笑顔で話す。「子育てが一段落したら工場で海苔作りに関わりたい」と意欲を燃やし続ける。
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