横須賀産の規格外野菜を有効活用し、おいしく栄養価の高い災害備蓄食を商品化しようと、横浜市内のベンチャー企業と地元生産者が協力して取り組んでいる。テーマは「ブランド野菜のもったいない×安心・おいしいに変える」。クラウドファンディング(CF)を通じて1月30日(火)まで試験販売が行われ、商品ニーズや課題を探り、食品ロス・災害備蓄における食の問題解決をめざしていく。
商品を手掛けた(株)StockBaseは、代表を務める関芳実さんが横浜市立大学在学中の2021年に設立したベンチャー企業。企業向け物品活用プラットフォームを構築し、企業が不要とする商品在庫や期限が近くなった災害備蓄食などを廃棄せず、寄付が必要な団体とマッチングさせる事業を展開している。
こうした取り組みが評価され、神奈川県が県内のベンチャー企業の事業拡大を支援する「SHINみなとみらい」や「かなエール」に採択。横須賀で新たなビジネスを創造する事業者を対象に、昨夏行われたスタートアップオーディションでは、同事業のプラン提案が入賞を果たした。
規格外野菜の廃棄が社会問題化する昨今。市内で生産する「よこすか野菜」も例外でなく、「年間約1700トンが出荷されていないデータがある」と関さん。加工しようにも人や設備投資が必要で二の足を踏む農家の声も多く聞いたという。
備蓄食として開発したレトルトカレーを「よこすかベジカレー」と名付け、すかなごっそを介して複数の地元農家から仕入れたダイコン・ニンジン・バターナッツかぼちゃを使用している。
味と栄養の両立
こだわりは「おいしく栄養がとれる」こと。同社のプラットフォームで様々な災害備蓄食を取り扱う中、自身も食べて知識を深めてきた関さん。食味を良くしようと努力するメーカーがいる一方で、それら商品の大半が炭水化物であり、救援物資としておにぎりやパンの提供機会も多いことから、「野菜不足、栄養素不足に陥りやすい」と被災時の食事情を説く。
また、「備蓄食はおいしくない」とのイメージを抱く消費者がいまだ多い点にも着目。「災害時に食べるからこそ、おいしくて活力になるもの。災害がなければ、日常でおいしく食べられるもの」を心掛けた。
カレーは小麦粉を含まないグルテンフリーで、老若男女が食べやすいよう甘口に仕上げた。火や水を使わず常温でも食べられるため、ライフラインが寸断された状況下の食事にも役立つという。
今回の横須賀での取り組みをモデルに、関さんは各地の規格外食材を使った”ご当地備蓄食”の開発にも意欲。「より大きく生産できれば、さらに長期保存の商品も販売できる」と語った。
支援額は3千円から。返礼品としてカレーが届くほか、寄贈プランを選択すると県内外のフードバンクや子ども食堂など食料支援団体にも贈られる。CFサイト「CAMPFIRE」に詳細。
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