「風の吹く街」の吸引力
風が吹き抜ける海のそばで過ごすウインドサーフィン中心の生活──。
同競技で五輪出場をめざす若き新鋭たちがこの地に移住を決めたのは必然だ。武田岳志さん(25/津久井在住)と井上隆さん(23/長沢在住)。2人は神奈川大学ウインドサーフィン部で先輩後輩の間柄。同じ夢を追う同士でありながら、ライバルでもある。
競技者だけでなく、愛好者も含めて津久井浜海岸はウインドサーファーの聖地。陸地に沿って吹くサイドショアと呼ばれる風向きが絶好のコンディションをもたらす。ワールドカップ会場になっていることがその証左だ。2人のように生活基盤そのものを移して選手活動に専念する人も珍しくなく、この地をホームゲレンデにしているプロ選手も多数存在する。
武田さんは就職を機に学生時代に打ち込んだ競技から一旦離れたが、大会の手伝いで運営船から眺めた白熱のレース風景に心が大きく揺さぶられた。「心の底でくすぶっていたやり残した思いがふつふつと沸き上がり、次の日に会社に退職願いを提出した」。競技に集中できる環境づくりをめざして2年半奔走、現在は5社のスポンサーを得て2028年のロス五輪出場を視野に練習に明け暮れる。東京都大島町の出身であり、「久里浜港から高速船で一直線で帰れることもこの地を選んだ理由」と笑った。
そんな武田さんの姿を追うようにして井上さんも移住を決断。今春に卒業を控えるが、企業などには就職せず、当面はバイト生活で足場を固める。「練習量を増やすだけでなく、練習の質を高めることが目下の課題。手本となる選手が身近にいることが大きなメリット」と目標から逆算して考えるクレバーな一面を垣間見せた。「今はスタートラインにすら立っていないが、目指すゴールは明確に見えている」
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