横須賀市の上地克明市長は、2月22日の横須賀市議会定例会で浦賀ドックを活用した地域活性へ向けて、住友重機械工業(株)と浦賀駅前周辺を含めた土地利活用に関する協定を3月中旬に締結すると発表した。渡辺光一氏(自民党)の一般質問に答えた。両者間の調整に一定のめどがついたことから、2021年に同社から無償譲渡されたドライドック部分とともに、「協定締結後は2者で事業者公募の準備を進め、新たな土地利用に向けてスピード感を持って取り組んでいく」と上地市長は述べた。
1899年竣工の浦賀ドックは、国内屈指の造船所として2003年の閉鎖まで約1千隻の艦船の製造・修理を行い、地域発展に影響を与えた。
21年3月には、国内では浦賀にのみ現存するレンガ造りのドライドックを含む約2万7千平方メートルを同社が市へ無償で寄付。ドック周辺をメイン会場に、同年から始まった観光イベント「MEGURU Project」などを通じて、地域住民を中心に”浦賀再生”への期待が高まっていた。
事業者公募へ準備
「海洋都市横須賀の実現に向けた重要拠点」「市内の歴史や観光周遊の中核的な集客交流拠点」に--。市は官民連携による同地の再整備をめざし、活用案や事業手法などを探る調査を21年に実施。しかし、寄付地だけでは敷地規模が足らず、「駅前エリア一帯での将来像や開発方針が見えない」などの理由で、開発に参画する意向の企業はいなかったという。
今回の協定では、寄付地以外の7万9千平方メートルに及ぶ同社所有地も一体的に利活用を検討していくことから、先の課題解消に一歩前進。上地市長は「(同社と)長く信頼関係を培い、やっと形が見えてきた。大きく動く」と手ごたえを語った。締結後は2者で協議し、24年度から事業者公募を行う予定としている。
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