横須賀中央駅前の商業施設「横須賀プライム」が、2月29日に全館の営業を終了した。1972年の開館から「緑屋」「ウォーク横須賀」の屋号で市民に親しまれてきたが、同施設を含む周辺地区の再開発事業で閉館し、解体後は33階建ての複合ビルが建設される。
「52年間、長きにわたりご愛顧いただきましたことを心から感謝いたします」─。坂本信也館長は、目に涙を浮かべながら、集まった人たちに謝辞を述べた。「お客様の笑顔や、時に厳しいご意見をいただいたことも今では良い思い出」と振り返った。
閉店時刻の午後8時には最後を惜しむ利用客や地元の若松町会のメンバーらが集まり、2階出入口で挨拶する坂本館長と従業員を拍手で労った。
名称と業態変え
同施設が月賦百貨店「緑屋」の横須賀店として営業を始めたのは1972年。85年にはファッションビル「ウォーク横須賀」、98年にテナント店を主体とした「プライム」に名称と業態を変えながら同地で営業を続けた。
池田町在住の男性(56)は「タレントが出演するイベントが屋上で行われ、友人と出かけたことを覚えている。ペットショップでウサギを見るのも楽しみのひとつだった」と当時を懐かしんだ。
新施設29年竣工
同施設は「若松町1丁目地区市街地再開発」に組み込まれており、地下1階地上33階建て(約127m)の複合施設が建設される計画となっている。
1階から4階は商業フロア、5階が住居用エントランスとなり、6階から10階がホテル、11階から33階が住宅となる。住宅は約270戸で、間取りは2LDKから3LDK。2階は現在と同様にYデッキと接続し、立体歩行者通路も設ける。
竣工は2029年夏ごろを予定しており、現在の建物は3月末から順次解体が進められていく。
開店当初の緑屋 横須賀店
緑屋は1972年、「センターヨコスカ」に出店。屋上には観覧車が設置され、休日は多くの家族連れでにぎわった。当時は西友、丸井とチェーン展開する商業施設が中央地区に相次いでオープンした時期だった。緑屋では衣料品・家電製品・家具・高級雑貨を主に取り扱っており、横須賀中央駅とは地下通路を経由して連絡した。(画像は市立中央図書館郷土資料室提供。72年撮影)
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