大阪市立自然史博物館の学芸員を務める 佐久間 大輔さん 三春町出身 56歳
「博物館を楽しく使い倒して」
○…「キノコ調べは探検、冒険のようなもの」-。3月20日に横須賀市自然・人文博物館で行われたキノコと里山を学芸員視点で解説する講演会で、自身の研究領域の紹介や人と自然の営みについて語った。同館職員が全国博物館大会に参加した際、氏が市内出身であることを知って打診し、地元での初登壇が実現。「こういうのは引退してからが定番だけど」と言葉少なに話すが、それでも幼少期に親しんだ博物館での”里帰り講演会”に喜びの表情を見せた。
○…物心ついた時から生き物や本が好きで、かつての横須賀の豊かな自然が原風景。田んぼから卵を大量に持ち帰り、孵化した蛙が逃げて母親を驚かせたこともあったと笑う。山崎小から栄光学園中・高校に進学。郷土研究部に所属して山城や東海道五十三次、道祖神などの踏査に熱中した。慶応義塾大学理工学部化学科を経て、京都大学生態学研究センターで地下の菌類を研究してきた。
○…1996年から現在に至るまで大阪市立自然史博物館で勤務。入職までを振り返ると5〜6年周期で環境が変わっており、「博物館勤務もすぐ飽きるだろう」と考えていたが、これが思いのほか肌に合ったという。2018年にはキノコの特別展を開催。多くの人の知的好奇心を満たす多彩な展示が好評を得た。キノコを通じた里山の保全、身近な自然と地球規模の自然保護などのためのしくみとしてより良い博物館づくりに勤しむ。
○…スマホ1つで情報が得られる時代だが、「リアルな空間で物を見られるのは博物館だからこそ」と意義を語る。「利用する市民と知的なキャッチボールができる場にしたい」。講演会の締め括りには「世代を超えた学びができる博物館を使い倒して楽しんで」と笑顔で呼びかけた。
|
|
|
|
|
|