長井3丁目にある私設図書館「Garage Yokosuka West」(ガレージ文庫横須賀西)では、最後の日本海軍大将・井上成美の遺品の一部が保管されている。井上邸は現在解体が進んでおり、その遺品の一部を4月6日、同館を運営する平間博彦さんが引き取り、同館で展示していく。
平間さんは坂本町出身で現在は横浜市戸塚区に住んでいるが、「横須賀市に拠点を持ちたい」と考え、この地にガレージを持つ事になった。防衛大で教授を務めていた亡き父・洋一さんが所持していた旧日本海軍や海上自衛隊関連の書籍、三浦半島に関する資料を取り揃えている空間だったが、「井上成美氏を語り継ぐ会」と出会い、井上ゆかりの品を所蔵するようになった。
今回の寄贈は、邸宅の解体工事に立ち合った者から受けたもので、「井上成美記念館」と刻まれた木の看板や、塾生に英語を教えている当時の井上の写真パネル=上写真=などの遺品の一部を平間さんが譲り受けた。
平間さんは「地域・歴史にとって価値のあるものを預からせてもらう。地域住民や当時を懐かしむ人、関心のある人などに利用してもらいたい」と話す。
利用は無料。不定期で公開中。問合せ・予約は平間さん【携帯電話】090・1259・0360
築88年の歴史に幕
敗戦間際に海軍大将となった井上は、米内光政や山本五十六と共に「日独伊三国同盟」の締結や日米開戦に反対するなど、軍の中枢にいながら、反戦を訴えていたとされる。井上は1936年、妻の病気療養のために長井6丁目に木造平屋建ての邸宅=右写真=を建てた。自宅として利用したほか、地域のこどもたちに英語塾を開いていた。
井上の没後、邸宅は「井上成美記念館」として運営されていた。2011年3月頃から休館していたが、解体が進み、跡地には別荘が建てられる予定だという。
在りし日の井上邸
相模湾を見下ろす見晴らしの良い崖の上の畑の中にあった井上邸。赤い屋根瓦に2本の白い煙突、庭先には井上が植えたソテツの木が生えていた。家の中には、英語塾で黒板代わりに使用していた戸板などがあった。1951年頃から約2年間英語塾に通っていた当時中学生の末廣良子さん(85)は「その時代では珍しいベッドや暖炉、“井上大将”のよく通る声、海で泳ぐ私たちを崖上で見守る姿など、今でも鮮明にあの頃が思い出される」と在りし日の井上邸を懐かしむ。
※写真は横須賀建築探偵団発行の『建物で読む横須賀』より(1999年撮影)
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