性差の境界線をなくす「ジェンダーレス」の言葉や概念の浸透と共に、学生の代名詞である「制服」に変化が訪れている。横須賀市内の中学校も例外ではなく、常葉中学校では2年生が着用している「詰襟」を最後に見納めとなることが決まっている。詰襟からブレザーへ。スクールユニフォームの変容の歴史や背景を探った。
近代化の象徴として、男性が着用する詰襟は明治時代から、女性のセーラー服は大正時代から広まったとされる。その後1980年代では、着丈の長短を調整する変形学生服、90年代後半に入るとルーズソックスなどが流行した。「変形学生服は当時の学生たちの流行りでもあり、威勢を示すものだった」と当時を知る男性は懐かしむ。
流行や時代とともに姿を変えてきた学生服。市内では制服着用に関する規定を各学校長に委ねている。23ある公立中学校のうち、野比・長井・追浜・鴨居・常葉の5校が現在も詰襟の制服姿を着用している。常葉を除く4校は、現2年生から、常葉は現1年生からブレザーに変更されている。
機能性を重視
制服の変更に至った経緯を常葉中の小板橋貴久校長は「ジェンダーレス化が進んだ事が理由として挙げられるが、ブレザーは生地や素材が詰襟と違い洗濯などの手入れが比較的容易。機能性・経済性を重視した」と話す。
しかし、兄弟間でお下がりを使用する予定だったという保護者の声もあった。野比中では、「数年のうちはお下がりや譲り受けた詰襟の着用は可」としており、完全にブレザーに移行するまでの間、各家庭の経済面や生徒自身が何を着たいかを優先している。
これまで体育の授業での用途が前提だった学校指定のジャージ(体操服)は性差を感じさせない仕立てや、感染症対策として家庭で毎日洗濯しやすいなどの理由で、登下校や授業の時間でも使用する学校が増えており、機能性に重きを置いた自主的な選択が進んでいる。
高校では数校
市内の公立高校では、詰襟を指定の制服に採用している学校が複数ある。上町の学生服専門店「今関」は「比較的長い歴史のあるいわゆる”伝統校”では、イメージや象徴を守るために、変更しづらい一面もあるのでは」と分析している。
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