全国に名を轟かせるご当地グルメ「よこすか海軍カレー」はいかにして誕生したか──。
横須賀市が1999年5月に「カレーの街宣言」を行ってから今年で25周年。地域ブランドとして確立するまでの経緯を振り返るトークセッションが6月20日、横須賀市市民大学の講座であった。立役者の一人であるカレーの街よこすか事業者部会の鈴木孝博部会長がこれまでのあゆみを秘話も交えて話した。
▼海自地方総監の提案
海軍カレーのアイデアは、(当時の)海上自衛隊地方総監からもたらされたものだった。先の宣言の前年、退官パーティーでの挨拶で「カレーライスが庶民の食卓に普及したのは海軍カレーにルーツがある。これを地域の活性化に利用してみてはどうか」。この話を受けて横須賀市役所、横須賀商工会議所、海上自衛隊の3者が調査・研究を開始。旧日本海軍で提供されていたカレーのレシピの再現が決まり、市内の飲食店と事業者にメニュー化と商品化の依頼があった。
▼時代の先鞭をつけた
今でこそ全国の自治体が血道をあげるご当地グルメの開発だが、そんな事例は見当たらない。「カレーで集客ができるのか不安でしかなかった」と鈴木会長。市全体に観光客を呼び込むムードはなく、ましてや海軍や自衛隊を観光資源として打ち出す発想自体が皆無だった。「世間が持つマイナスなイメージを逆手に取り、街の個性として打ち出した最初の挑戦だったかもしれない」
成功を疑わず、圧倒的な熱量で海軍カレーのブランド化に挑んでいた市職員の存在も大きかった。後に「カレー課長」と呼ばれるほどの働きを担った青木猛さん。「我々は青木さんに導かれて取り組んだだけ」。グルメイベントの先駆けとなった「カレーフェスティバル」の発案もそう。初回は9千人を集め、「カレーの街よこすか」を全国区に押しあげるきっかけとなった。
海軍カレーはその後、全国的なご当地グルメブームもあり、順調に成長を遂げていった。鈴木さんは地域ブランドとして定着した理由に「海軍の街と海軍の食というストーリー性に加え、カレーの持つ大衆性が万人の興味を引いた」と分析。様々なパッケージデザインのレトルトカレーが販売されるようになり、大手食品メーカーやコンビニも海軍カレーの名を冠した商品を全国で流通させている。今年のカレーフェスは2日間で5万人が来場。名実ともに日本一のカレーの祭典となった。現在は「カレーの街」を名乗る6つのエリアと協力して各地の人気店を巡る「カレーマラソン」を実施中。横須賀は先駆者として企画をリードしている。
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