今夏、海水浴場の開設が見送られた三浦海岸で周辺の飲食店関係者などを中心とした有志グループが復活に向けて動き出した。集客が見込める観光の一大コンテンツを失った現状に危機感を募らせており、地域経済の縮小を食い止める狙い。来年度の海水浴場再開に向けた具体的な取り組みとして三浦市などと連携し、8月中の週末にイベントの実施を検討。ビーチの通年利用やサンセットタイムの有効活用なども探る。
書き入れ時 ビーチは閑散
三浦半島を代表する三浦海岸海水浴場は、首都圏からのアクセスが良く「駅近のビーチ」として人気を集めていた。統計資料が確認できる範囲では、1999年のピーク時に約104万人が訪れていた。天候などの自然状況による変動はあるものの、平成時代の中盤に70万人台あったものが、2019年には約35万人に減少。近年はレジャーの多様化や日焼けを嫌う若者が増えたことで「海離れ」が顕著になっていた。さらに新型コロナが猛威を振るった時期は海水浴場が休場されたこともあり、退潮を加速させた。
そうした中で、海の家を設置している三浦海岸海水浴場組合が4月、建設費用などの財政的な事情から昨年は2軒あった営業を今年は希望者がないために断念すると三浦市に伝達。海水浴場の設置者である三浦海岸海水浴場運営委員会も海の家の出店が見込めず、安全対策に充当する費用が捻出できないことから継続した運営が困難であると判断して、5月に解散を決定した。
「タイムシフト」社会実験
ビーチの異変に「三浦海岸」駅周辺の飲食店などでは、シーズン開始直後から危機感が広がっていた。ガラリと様変わりした海の風景に寂しさを覚える地元住民も少なくなく、先ごろ今後の対策を検討する有志のプロジェクトが発足。三浦市と三浦商工会議所、三浦市観光協会なども加わり、来年度の海水浴場復活をめざす方針を確認した。海水浴場に限定せず、ビーチの通年利用なども合わせて検討していく方向でまとまった。
実現に向けた第一歩として、8月中旬以降の週末にイベントを仕掛けていく。下浦海岸駐車場と前面の砂浜エリアを会場にキッチンカーによるグルメ販売や周辺店舗を巡るバルウォークを企画。流木を用いた砂浜のライティング、サンドアート・サンドソファーなどによる空間演出で”写真映え”を求める若者らを呼び込む。ステージも設けて音楽演奏やフランダンスショーなども行っていく。「三浦海岸サマー・サンセット・ビーチ」と題して、集客の時間帯を日中から夕方にタイムシフトさせる社会実験も実施する。「海に対するニーズは変化しており、バラエティーに富んだ海の家の誘致や遊泳以外の楽しみ方の提供を考える必要がある」と市の担当者。海の家の経営者組織である三浦海岸海水浴場組合は存続しているため、有志プロジェクトでは組合員の意向を確認しながら新しいビーチ利用の姿を模索して、来年度以降につなげていく方針を示している。
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