ヤギを学校へレンタルする事業をスタートする「みちくさラボ」代表の 池田 陽子さん 横須賀市池田町在住 50歳
「ほっとする」届けたい
○…ヤギの出張授業や市街地での草刈り活動など、昨年5月にみちくさラボをオープンして以来、ふれあいを通じて、目指してきたのは「みんなが優しくなれる空間」。このほど県の事業化に採択された「ヤギが待ってる!行きたくなる学校プロジェクト」では、ヤギを介在させることで心の安らぎや生徒の居場所を提供する。
○…千葉県出身。有り余る「ヤギ愛」は、幼いころ、通学路の脇で飼育されていたヤギとの出会いに起因する。学校へ向かうのが憂鬱な日も会うのを楽しみに乗り越えられ、親に渡すのをためらう少し残念なテストの結果やプリントなどを食べてもらううちに「全てを受け入れてくれた感じがした」。ヤギの底知れぬ魅力に取りつかれ、「将来は動物に囲まれて暮らすのだろう」。そう確信していた。
○…しかし大人になり、気が付けば社会の荒波にもまれ、仕事に追われる毎日。思い描いていた将来像との乖離に悩む日々を送った。横須賀へは夫の長期出張を機に15年前に移住。転機が訪れたのは月刊誌の編集をしていた40代半ばの時だった。子育ても一段落すると、ふつふつとヤギ愛が再燃。資格も知識もない状態からのスタートだったが、「やりたいことをやらず死ぬ間際に後悔したくない」。信念が足を動かした。
○…それからすぐに、1年間動物病院のアルバイトで経験を積み、「愛玩動物飼養管理士」を取得。時には牧場で飼育を習い、時には民家でヤギを飼う人に疑問や質問をぶつけた。そうすることで生まれたネットワークから飼育場所も見つかった。「イベントをすると高齢者から子どもまで多くの人がヤギを中心に話してくれる。そんな優しい光景をこれからも作っていきたい」
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