夜間のタクシー不足を解消するため、一般ドライバーが有償で乗客を運ぶ「神奈川版ライドシェア(かなライド@みうら)」が12月17日から本格導入されることが決まった。市はこれまで実施主体を民間業者に移行させたい意向を示していたが、採算性などで折り合いがつかず、引き続き市が実施主体となる。11月22日、県庁で県と市、事業者らによる検討会議が開かれ、方針が了承された。
この日示された概要によると、本格実施後は現在2社が担う協力事業者は京急三崎タクシー1社になる。ドライバーは三浦市在住在勤の10台程度を見込み、報酬は現行の5割の歩合に加え、新たにシフト手当として1シフト400円を支払う。タクシー会社には運行管理費として日当たり5千円を支給する。
午後7時から翌日午前1時までの運行時間やアプリで事前決済する仕組みは踏襲する。
年間550万円とする収入の想定は従前と変わらず、新たに支出を設けることで収支は年間約120万円の不足を見込む。不足分については三浦市が負担する。
「ニーズ応える」
実証実験は4月17日に始まり、期間は12月16日まで。県によると1日平均5回の利用目標に対し、11月10日までに3・7回の利用実績があった。こうした経過を踏まえ、県などはライドシェアは「タクシー不足問題に対して有効な手段」として実験終了後、切れ目のない本格導入への移行を目指していた。
ただ、採算性を踏まえた実施主体や、現状委託となっているドライバーとの契約形態が課題に。三浦市と県は10月23日にタクシー事業者が実施したいとなった場合の規制緩和を求める要望書を国に提出したが、国はこれを認めないと回答。現行の仕組みで移行し、タクシー会社がドライバーを雇用すると採算が合わないため、市が引き続き実施主体を受け入れた。
夜間の移動手段が確保されることで利便性が向上し、地元経済への好影響が期待される一方、市の財政負担が伴う形となった。市の矢尾板昌克政策部長は「現状で実施主体の移行は困難。ライドシェアは一定程度のニーズがあり、市として応える必要があると判断した」と説明した。
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