大学自動車部の日本一を決めるモータースポーツ「フォーミュラジムカーナ」の女子クラスで優勝した 吉川 萌衣(めい)さん 横須賀市池上在住 23歳
ゼロコンマの世界、その先へ
○…勝利の女神が微笑んだ。基準タイムは1分30秒。前日、1分間全力走行したポイントを目安に定め、残りの秒数を声に出しながらハンドルを握った。この作戦が奏功し、誤差ゼロコンマ2秒という他の追随を許さない圧倒的な記録で初代王者に輝いた。「優勝できてほっとした。負けられない戦いだったから」。レースを振り返ると意志の強さが瞳に光った。
○…「このルールは何だろう。なぜ努力が報われないの」。法政大学2年生の時に出場した大会結果に疑問を抱いた。予選会6位の結果は決勝進出の資格を満たしていたはずだったが、「女子1大学2人」の要件が足りず涙を飲んだ。フォーミュラジムカーナも昨年の発足時は男女混合形式。「モータースポーツは男女差がないと思われがち。でも、そうじゃない」。反射神経や体躯による車体の安定、ゼロコンマを競う世界だからこそ、身体能力の差が顕著になる。なのに―。真摯に向き合ってきたからこその不満を運営側にぶつけ直談判。女子クラス新設のきっかけを作った。
○…体操やバレー、卓球、女子サッカーなどさまざまなスポーツを経験してきた。旺盛な好奇心の一方、取り組むことには手が抜けないたちで、生粋の負けず嫌い。大学でサークル活動ではなく、名門自動車部の門を叩いたのも「やるからにはちゃんとやりたい」との気概故だ。
○…「2回の走行に”全集中”して自己ベストを尽くすこと」。競技の魅力を問われ、そう返した。次なる目標は全日本ジムカーナの日本一。卒業後は自動車の電装品関係のメーカーに就職が決まっているが、レースは今後も続けていく。その先の目標もある。「女子を含めて競技人口を増やしたい。業界全体を盛り上げていけたら」
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