卓越した技能者を国が表彰する「現代の名工」に選出された 佐久間 和男さん 横須賀市久村在住 64歳
受け継いだ技術 後世に
○…障子、ふすま、雨戸、格子戸など空間の内外を仕切る役割を持つ「建具」。製作は指先・手腕の器用さと、優れた形態知覚も求められる高度なもので、日本の伝統工芸として千年以上の歴史を持つ。「技術はまだまだ先輩に敵わない」という中での「まさか」の表彰は、職人としての腕だけでなく、神奈川県産木材を活用した家具の開発も評価されたものだった。
○…地元産スギを使用した家具ブランド「杉彩」の開発に着手したのは四半世紀前。木材供給の過多と建具店としての需要が落ち込む中、本業以外に活路を見出そうと始めたのがきっかけだった。家具には広葉樹、建具にはスギ、ヒノキといった針葉樹を使うのが一般的だが、「建具職人の作る家具」として差別化。素材の軽さと優しい肌触りで現在も好評を博している。普段は工務店とのやり取りが多い中、購入者からの声が直接聞けるのは新鮮だった。
○…建具職人である父の背中を見て育った少年時代。自宅1階の作業場は半ば遊び場で、余った木材を組み立てて船の模型などのおもちゃを作るなど、幼い頃からもの作りに親しんできた。20歳から5年間は秦野の建具店での修業で基礎を叩きこまれ、その後父の店を引き継ぎ、40年職人として腕を磨き続けている。
○…少子化に伴い、建具業界の人手不足はより深刻さを増す。その中で仕事を集め、従業員を雇うことで技術を継承していくことを「職人としての使命」としており、現在は若い弟子2人の育成にも力を注ぐ。口ではなく「背中で語る」姿勢だった修業時代の親方。直接教えてくれることは少なかったが、当時の経験が今の自分を型作った。今度は自分の弟子に技術のバトンを渡す。「これが僕なりの恩返しなんだ」
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