重度の知的障害者を対象とした支援施設「かがみ田苑」(野比)などを運営する「横須賀市社会福祉事業団」が来年3月末で解散することを決めた。中核事業である同苑の来年度以降の指定管理事業者に落選し、今後の経営が困難だと判断した。解散に伴い常勤・臨時職員の約100人は解雇となり、一部からは再就職先やその後の待遇について不安の声が上がっている。
同事業団は1987年に同苑の管理運営を主な目的として設立。当初市は運営を事業団に直接委託していたが、06年からは指名する形で指定管理制に移行。その後、同様の事業を展開する民間事業者が増えてきたため、12年に公募制となった。
過去2回の公募では応募が1団体で同事業団が受託。今年9月の公募では、同事業団に加え、市内10カ所で生活介護事業や放課後等デイサービスを展開する社会福祉法人海風会(馬堀町)が応募。外部3人、内部2人から成る選考委員会が13の観点から両者を評価し、同法人を選出した。12月市議会本会議で可決された。指定期間は令和7年度(25年度)から5年間となる。
職員・関係者は不安を吐露
同事業団のうち約50人は同苑で勤務。職員の岩永敏和さんは「ショックもあるが、職探しへの不安が大きい」と困惑の表情を浮かべた。海風会は現かがみ田苑職員向けの求人を出しているが、「転勤や夜勤の有無、給与の面からおいそれと転籍するわけにいかない職員もいる」と内情を明かす。
26日に実施された保護者向け説明会の参加者は「通所し始めて2年、ようやく今の環境に慣れてきた所での体制変更は不安。利用者へは丁寧な対応を望みたい」と胸中を語った。
現職員への対応について同事業団は、近隣地区等の求人情報を職員に紹介しているほか、通常の退職金に加え退職功労金などを支給する予定。同事業団の山田賢志常務理事は「指定管理を勝ち取るつもりで準備を進めていたが、このような結果になり心苦しく思う」と話し、「職員の不安をなくせるよう、出来る限りの対応をしていきたい」としている。
市福祉施設課の担当者によると、指定管理の移行に向け、海風会を含めた3者で協議を続けていくとしており、事業団には市の会計年度任用職員の募集情報を知らせる予定だ。
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紙面から振り返るヨコスカ・ミウラ202412月20日 |
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