野生動物を題材にした画集を出版し、個展を開催しているアマチュア画家 佐藤 陽(あきら)さん 横須賀市平作在住 82歳
動物の叫び”目”で感じて
○…注目すべきは懸命に生きる動物たちのまなざしだ。ライオン、ヒョウ、カモシカ、ヤマネコ。力強くも儚げな瞳は、”目が合った”鑑賞者の意識をとらえて離さない。そこにあるのは「自然界からのメッセージ」。原画が並ぶ会場では、魂を込めて描き上げた野生動物たちが声なき声をあげている。
○…中学1年時に、後にグラフィックデザイナーとなる双子の弟と共作で昆虫の具象画を制作。コンクールで銀賞を受賞し、翌年は動物を描いて金賞を獲得した。絵描きへの憧れはあったが、「才能溢れる弟に引け目を感じた」。横須賀工業高校造船科を卒業後は、マグロ漁船の無線通信士として南太平洋を巡った後、キューバ政府と契約を結び現地で技術指導を行った。帰国は30歳の時。その後は父の塗装屋を引き継いだ。
○…転機は42歳の時。油絵画家だった顧客との話の流れで中学時代に賞を受賞した絵を見せると、実力を評価され弟子入りを促された。それからは堰(せき)を切ったように創作意欲が湧くように。外壁塗装の作業ができない雨の日と日曜日は作品制作に没頭した。眠っていた才能は目を覚まし、さらに磨かれたことで50代では市民文化祭で2年連続市長賞を獲得。市美術協会主催のYB展でも市長賞を受賞した。72歳で現場を退いた後も「毎日が日曜日」と連日筆を握り続けている。
○…野生動物を題材にしたシリーズを描き始めて8年。地球温暖化、森林伐採、海洋汚染のほか戦争・紛争など、動物の生活の場を奪う人間による自然破壊を憂う。「目はすべて我々人間に向けられたもの。言葉にならないメッセージを感じ取ってくれたら」。懸命に生きる命を表現し続けることで、人間社会に警鐘を鳴らし続ける。
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