団塊の世代が前期高齢者(65〜74歳)になる2015年に、病院や施設での看取りができない人が市内で500人にのぼり、後期高齢者(75歳以上)になる2025年には1000人に倍増する可能性があることが明らかになった。先月29日に開かれた市議会第4回定例会の本会議で、一柳洋議員(ニューウィング横須賀)が質問した。市では「2025年問題は避けて通れない課題」であるとの認識で、病院と診療所の連携づくりなどに取り組む構え。
高齢化率の上昇
横須賀市都市政策研究所がまとめた市の将来推計人口(08年)によると、65歳以上の高齢者は2015年に約11万9500人(28%)、2025年に約11万5900人(31%)になる(カッコ内は総数に占める割合)。総人口が減少し続ける中で、高齢者の割合が年々増加すると推計している。
一柳議員はこの日、いわゆる「2025年問題」(※)を取り上げ、横須賀市の死亡数の推移や病院や施設で看取りができない人の推計、医療と福祉の連携などについて質問した。
市によると、死亡数は2015年で約4600人、10年後の25年に約5300人になると推計。死亡場所の割合として病院が約70%、施設が約7%のまま推移し、そこでの死亡数が限界であるという仮定のもと、看取りができない人は2025年に約1000人にのぼる可能性がある。65歳以上の独居世帯や夫婦のみという世帯の割合も増加の一途をたどるとみられる。
吉田雄人市長は「病院のキャパシティは限られている一方、亡くなる方の実数は増える。病院と施設・診療所との関係性や、在宅(療養支援)の診療所と福祉関係者との連携が大事になってくる。2015年をひとつのターゲットに、ゆるやかなチームを各地域に作れるようにしたい」と述べた。
横須賀市では昨年度、医師や福祉関係者、行政職員らをメンバーとする「在宅療養連携会議」を設置。在宅療養を進めるための協議やシンポジウムの開催などに取り組んでいる。これまで、ケアマネージャーの医療知識の向上、在宅療養支援診療所の不足などが課題としてあがったという。
「新たな住宅」提案も
一方、藤野英明議員(無所属)は6月の本会議で、2025年までに自宅、病院、介護施設以外の新たな高齢者向けの住宅を増やすべきと提案。吉田市長は「有料老人ホームを建設するか、サービス付き高齢者住宅を建設するかは、それぞれのメリットを考慮して事業者が選択していると考える」と答えていた。
※団塊の世代が75歳以上になり、認知症患者や世帯主が65歳以上の家庭、死亡数の増加、社会保障費の増大などが懸念されている。
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