全国大会に初出場した浦賀中学校サッカー部の顧問を務める 熊谷 健太郎さん 浦賀中教員 33歳
腐らず、逃げずに、前を向く
○…この夏、初めて全国の舞台に立った浦賀中サッカー部。初戦で敗れたものの、指揮官として選手達を誇らしく思った。「最後まで諦めずに立ち向かい、負けても自分達の足で立ち上がって保護者の方々や先生方、仲間達にお礼を言いに行けました。それが嬉しかったです」。挫折や逆境を乗り越えようとする心の力「リバウンドメンタリティ」を体現し、成長した姿を見せてくれた。これを人生でも大切にしてほしいと願う。
○…宮城県南三陸町の出身。サッカーとの出会いは小学3年の時だった。内気な性格で、仲間をつくり自分を表現する場がほしかったという。中学高校とサッカー部に所属。大学進学を機に千葉県へ移り、各国へのサッカー留学も経験した。「下手だったからこそ、人と違うことに挑戦して頑張らないといけないと思ったんです」。中学時代の夢を思い出すと、ピッチではなく教壇に立つことを決めた。横須賀に来て5年になる。
○…言葉を選びながら「3・11」のことを話してくれた。生徒を避難させると、車載テレビで情報を得た。目に飛び込んできたのは、同じ宮城県の気仙沼港が津波にのみこまれる映像。愕然とした。同時に恐くなった。1週間後、ようやく帰ることができたが、そこに実家は無かった。それでも、避難所では父親が人々のために懸命に働き、別の避難所では母親が祖母の介護をしていた。逆境の中でも腐らず、投げ出さずに頑張っている人がいる。横須賀に戻ってできることをやろう。それが出した答えだった。
○…生徒に夢を見させるのは教師の大切な仕事。一方で社会科の教員としては、現実を受け止めどうやって生きていくかを生徒と一緒に考える立場でもある。指導の仕方を悩むことはあるが、「嘘偽りの無い姿に子供達はついていく」(大場校長談)と信頼も厚い。全国大会は、生徒にとっても自身にとっても、終わりではなく次の人生の始まり。だからこそ、前を向き走り続ける。
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