県営浦賀かもめ団地 「健康団地」で再生へ 医療・福祉事業者のサービス拠点も
神奈川県は市内鴨居の県営浦賀かもめ団地を、「健康団地」として再生する取り組みに着手している。高齢化と空き住戸の増加が問題となっている県営団地に対して、医療・福祉施設を誘致し、入居者の利便性向上を図るもの。県内初の取り組みとして、サービス提供事業者を募集。今月、市内の2事業者が決定している。
県内にある219の県営住宅の高齢化率は、今年4月現在36・0%。高齢者の単身世帯は居住全世帯の22%にあたり、入居者の高齢化が顕著となっている。孤独死やコミュニティの低下も課題となっており、県では、「健康団地」というコンセプトを掲げ、団地再生の取り組みを開始した。高齢者が健康に暮らすことのできるサービスや施設を付帯させることで、団地の居住性を高めるのが狙いだ。
その第1弾として行われるのが、鴨居にある県営浦賀かもめ団地の事業。同団地は、昭和45年から入居を開始。当時から暮らす人も多く、団地入居者の高齢化率は43・8%と県平均よりも高くなっている。今回、同団地内にある2階建ての空き店舗を利用し、医療・福祉サービス機能を有する事業者を誘致。募集・選定の結果、医療法人社団小磯診療所と、有限会社ライフサポートいずみに決定した。小磯診療所は現在、団地に隣接した本院を運営しており、今回は分院を開設し、訪問医療やリハビリなどの医療サービスを行う予定。また、ライフサポートいずみは、「小規模多機能型居宅介護」として申請している。県では、空き店舗の改修・耐震性の審査などを行い、今年度内には事業を開始したい、としている。
また、これをモデルケースとして、他の県営団地でも空き住戸や施設・余剰地を活用した支えあい活動のサポート、子育て世代の入居推進にも力を入れる方向だ。
自治会活動も活発
浦賀かもめ団地自治会では、高齢化に伴う孤立化・引きこもり、買い物支援・防災対策などの問題に関して、地域ぐるみで活動している。現状では、高齢者の立ち寄れるサロン(コミュニティカフェなごみ)の開設や買い物支援の青空市を開催。また、毎朝行っているラジオ体操には50人近くが参加しているという。「外に出るきっかけづくりと、居住者の顔が見えることを実践している」と同自治会の具志堅吉治会長。この事業に関しても、「高齢者を抱える家では、介護の負担も大きな問題だった。住民の交流の場としても期待したい」と話している。
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