滝に魅せられ来月8日に最新書籍「日本の滝めぐり」を出版する 佐竹 敦さん 安浦町在住 39歳
「人と同じじゃつまらない」
○…「我々滝好きは見に行く、でなく”会いに行く”と言うんです」。20歳のころ、何気なく見に行った日本三大名瀑「袋田の滝」の壮大さに心打たれて以来、全国の滝百選や誰も行かないような秘境の滝を巡る。楽しみ方は「ただ眺める」。滝を前に3時間以上佇むことも。永遠に続く水音を聞きながら「自分はなんてちっぽけな存在なんだ」と日々の悩みが滝壺に消えていくのを感じる。
○…「一つのことを突き詰めやすい性格」「目立ちたがりや」。中学では生徒会に属し、人の中心にいた少年は、次第に人がやらないことに興味を見出す「天邪鬼」になっていった。歴史好きが高じて偉人が眠る墓を巡り歩いたのを皮切りに、五重塔や三重塔、昨年は日本の棚田百選を制覇するなど今まで極めた趣味は数知れず。記録をまとめた自身のホームページの容量も膨大だ。それらの活動が関係者の目に止まり、滝通日本一を決めるテレビ番組に出演したこともある。
○…就職後、26歳で仙台に転勤。見知らぬ土地での不慣れな生活、クレーム対応や人との折衝が多い仕事に疲れ果て、人と会うのが億劫になる時期があった。そんなとき、引き込まれるように見に行ったのが寺院に眠る即身仏(ミイラ)だった。日本で一般公開されている15体すべてと対面することで悟りが開けたら「喜怒哀楽が消えて気持ちが楽になれると思った」と当時を振り返る。結局”悟り”には出会えなかったが、自然や歴史が作り出す雄大な情景に会いに行くことが生活の一部になった。
○…直瀑、段瀑、分岐瀑。滝にはさまざまな顔がある。ロープを使って崖から下りたり、腰まである深さの川を渡ったり、滝のためなら苦労を惜しまない。その行動力は、自身も趣味の書籍を出版している母親譲りだ。誰もがやらないことを楽しみながらやる。「変わっていると言われても気にしない。だって人と同じじゃつまらないでしょ」
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