これまで「女性の仕事」と見られてきた看護師の職場に男性が増えている。市が2013年から取り組んでいる「看護師確保対策協働モデル事業」の一環で男性看護師が集まり、交流活動を始めたことを機に、このほど「YOKOSUKA男性看護師会」が発足した。今後は、交流会の開催や情報交換、講演会や職業体験などを通して、男性看護師のネットワークを広げていく。
看護婦・看護士と男女に分かれていた名称が、「看護師」に統一されたのが2002年。その後、10年間で全国の男性看護師数は約2・3倍(04年〜14年/女性は約1・4倍)と増加傾向にある。しかし、高齢化が進み、在宅医療や介護施設など看護の需要が多様化する一方で、結婚や子育てなどで離職する人が多く、全国的に「看護師不足」と言われる。
横須賀市では、こうした現状をふまえ、NPO法人看護職キャリアサポートとの市民協働事業として、人材確保や育成を支援する「看護師確保対策協働モデル事業」を13年から3カ年で実施。就職・復職説明会やキャリア支援研修を行ってきた。その中で、今年2月に初めて開催したのが、男性看護師の交流会。参加者から多くあがったのが「女性中心の職場で居場所がない」「近くに同性の相談相手がいない」「目標となるキャリアのモデルケースがない」といった働き方に関する悩みだった。
そこで、「職場での不安やストレスの軽減、情報交換の場として男性看護師の連携を深めたい」と先月、市内病院に勤務する看護師11人で発足したのが「YOKOSUKA男性看護師会」。代表の青木隆志さん(横須賀共済病院)は、「まだまだ男性の管理職が少なく、20年30年後の働き方のイメージが沸かない人も多い。職場環境やキャリアプランの悩みを共有できる場になれば」と話す。
今のところ、「男性看護師」の全国組織や大学病院などでの連携はあるものの、横須賀市のような自治体単位での活動団体は珍しいという。
「男性の看護」に潜在需要
実際の現場では、男性の看護を要する場面も広がっている。同会のメンバーが所属するのは整形外科や脳神経外科、呼吸器科など。患者の移動を伴う力仕事や救急、精神科、泌尿器科といった診療科で勤務する例も多く、潜在的なニーズもある。また、「男性がいることで、職場の雰囲気が柔らかくなる」との声も聞かれるという。
横須賀市内の病院等で勤務する男性看護師は262人(14年末時点)で、全体の約6・9%。この割合も増加傾向にある。横須賀市看護専門学校でも、男性受験者が増えており、社会人経験のある人が看護業界を目指すケースも多い。
同会では先月30日に市内で行われた看護職の就職・進学説明会にもブースを設け、看護学校の受験を目指す社会人などから相談を受けた。「社会的な認知度向上に加え、看護師を目指す学生の支援や職場体験など、男性ならではの仕事の役割を伝えていければ」と青木さん。今後は、こうしたイベントへの参加や活動PR、勉強会などを継続させていく考えだ。
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