10月2日に開催する「いろんな子どもと家族のお祭り」実行委員長を務める 高橋 嘉誉(かよ)さん 長沢在住
地域の支えが原動力
○…障害の有無を問わず、多世代の人が集まる場に、ちょっとした支援と配慮があれば、楽しい空間になるはず―。今年2回目となる「いろんな子どもと家族のお祭り」は、そんな想いを形にしたイベントだ。
○…仕事でキャリアを重ね、授かった待望の長女。想像していた子育てとは遠い場所にいた。激しく泣き続け、重度の知的障害と自閉症と診断を受けた。周囲に迷惑をかけていないか「ずっとびくびくしていて、逃げたいと思ったこともあった」と当時の葛藤を振り返る。娘と共に前に進むためにできることは何か―。そんな時、家庭での「療育」という手法に出会った。「教育で子どもの可能性は変えられる。私もこの場で生きていていいんだ」。野比にある特別支援学校に入るため横浜から居を移すと、少しずつ絡まった糸が解けていくような気がした。達成感が得られず、苦しんでいた心が穏やかになった。
○…自身の経験と学びを還元する場として、「トータスキッズ」を立ち上げた。「陸がめの歩みはゆっくりだけど着実に前に進んでいるから」。家庭療育の相談や個別指導のほか、力を入れるのは家族を支える土壌を作ること。自閉症や発達障害の子どもを持つ「ママパパ交流会」は、民生委員や児童委員など地域の力も借りる。「子どもと家族のお祭り」も市のジュニアリーダーらがサポート。自閉の子と、どのように接すればいいのか「自ら考えてくれるのが嬉しい」。多世代が横断して支援できれば、「みんなが生きやすい地域になるはず」と期待を込める。
○…ハキハキと受け応える芯の強さを見せる一方で、「”ねばならない”という気持ちがなくなった」と微笑む。長女の送り迎えで車を走らせていた毎日。朝の時間を穏やかにしてくれたのが、野比海岸の眺め。「周囲の人たちの心遣いと、横須賀の大らかな雰囲気が支え」。この街での暮らしが、家族の幸せにつながっていると感じている。
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