横須賀市が進めている(仮称)中央こども園の設置が、大幅に遅れそうだ。計画している合同庁舎跡地(日の出町)の土地購入が難航したため、市は定期借地での取得に方針を転換。第4回市議会で、30年間の土地借り入れで、設計業務を行う旨の補正予算議案を提出されていたが、これに対する減額修正案を可決。事業計画の練り直しが必至となっている。
市が2015年2月に策定した公立保育園再編実施計画は、市立保育園11園の再編や民営化などを進めるもの。その一つが、幼保連携型の「認定こども園」と子育てを包括的に支援する施設の新設。中央地区では上町・鶴が丘保育園を統合移転し、(仮称)中央こども園を新設する計画が進んでいた。用地は当初、ヴェルクよこすか横にある国の合同庁舎跡地=写真=の一部を購入する方向だったが、市が予算計上した価格と昨年末に国が提示した額で折り合いがつかず、購入を断念。19年春の開園を目指していたが、この時点で既に1年以上遅れることが見込まれていた。それに伴い、市立諏訪幼稚園の廃園も先送りとなっていた。
予算額が不明確
今年5月、市は国と交渉を行い、定期借地の方針に転換。50年間、土地を借り入れて施設を建設する方向を打ち出した。さらに、先ごろ閉会した第4回市議会定例会では、借地期間を30年に短縮したうえで設計業務を行うための補正予算案が出されたが、「用地選定や借地料など整備方針において検討不足」として修正議案が可決されている。
定期借地を30年とした理由について、吉田雄人市長は「30年後の就学前人口が、現在の約1万7千人から40%程度減少し、およそ1万人になる見込みで、ニーズに応じて必要な期間活用でき、初期投資も少なく整備可能」と話す。
だが、市議会で修正議案が出された経緯はいくつかある。そのひとつは、借地料。2018年に国が行う不動産鑑定に基づいて決まるため、現段階での費用が不透明だという。議会での質疑で永井真人議員は「土地にかかる費用が分からないまま、30年借地に関わる予算を承認することはできない」と話した。また、建設費用はRC工法の3階建てで約11億。これを30年後に解体し、国に返還することから「公共施設整備のために定期借地の手法を用いていいのか」「30年後の中央地区の人口規模予測が明確でない」などとして、整備のあり方について再検討を求めている。
他の用地検討は
市は「横須賀中央駅の徒歩圏で車も利用しやすく、繁華街の影響が少ない場所」として、当該地での設置方針を崩していない。
議会では「なぜこの場所に固執するのか。他の土地や複合化を含めて懸案すべきではなかったか」と疑問の声も上がる。「目の前にある土地だけにこだわらず、子育てにふさわしい場所かを第一に考えるべき」「どのような施設が望ましいか本質の議論のないまま、土地取得や設計を優先している」と厳しい意見が上がっており、計画全体の見直しを迫られている。
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