お台場の「船の科学館」から昨年9月に、ヴェルニー公園の記念館前に移設された戦艦陸奥の主砲が、今月25日(土)から一般公開される。横須賀海軍工廠で1921年に建造後、36年の大改修で搭載された長さ18・8m、重さ約102tの「4番砲塔」。関係者らは「海洋立国日本の発信拠点に」と、今後の活用に知恵を巡らせている。
東京五輪開催に伴うお台場地区の再開発で、陸奥主砲の撤去が取り沙汰されたのが、2014年春。市内では政財界を中心に「陸奥の里帰りを支援する会(陸奥の会)」を結成。横須賀の地で主砲を新たに搭載した1936年から80年となる2016年の移設を目指し、署名などの働きかけを行っていた。同館から無償移譲決定後は、輸送の費用等を賄うための寄付活動を展開。市民や企業・団体による寄付約2600万円と防衛補助金が移設作業と周辺の整備費に充てられた。
昨年9月、船の科学館から、ヴェルニー公園へ2日がかりで海上輸送された際は、多くの見物客が設置作業を見守った。その後、約半年かけて塗装や説明板・芝生など周辺を整備。主砲横には「鎮魂」と書かれた石碑も置かれた。25日には、お披露目と移設を記念した式典も行われる。
陸奥の会代表の齋藤隆さんは「協力いただいた方々の想いが実った。今後はこの生きた教材を活かし、VR(仮想空間)を使った体験や展示など、新たな技術力を用いて発信できれば」と話している。
「軍港応援団」を結成
「横須賀製鉄所創設150周年を機に、ここで培われた近代産業技術が注目されている。陸奥もその一つ」と市文化振興課担当者。隣接するヴェルニー記念館では、精巧な100分の1模型を展示。他の近代歴史遺産とともに、学びの場を提供していく。また、公園や歴史ガイドのマップにも追加し、観光客にもPRしていく方向だという。
里帰りを「横須賀の魅力発信」のツールとして活用する動きもある。横須賀商工会議所では「軍港応援団」を結成。艦戦ゲーム愛好者や軍事遺産等に関心がある市外の人の発信・拡散力を活用するもので、応援団員になってもらい、新たな観光客層を呼び込むのが狙い。陸奥の移設事業のほか”軍艦の聖地”や日本遺産登録遺跡などを、主にSNSを用いて情報発信していく。先月15日には、軍港都市の歴史を学ぶプレ研修会を実施。ヴェルニー公園や旧鎮守府司令長官官舎などを郷土史家の山本詔一さんが案内した。応援団員の募集は来月から開始、6月ごろ研修ツアーを行う予定。
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