公立中学校に硬式テニス部の設置をめざす動きが、横須賀市や三浦市で広がっている。「小中学生が競技にふれる機会を創出しよう」と中学校教諭や民間テニスクラブコーチらでつくる「よこすかテニス普及の会」が体験クリニックを定期開催している。今月9日には三浦市内の中学校で実施。今後も会場を変えながら月1回程度開催する予定で、三浦半島での競技の裾野拡大を目指す。
競技人口の増加受け
日本人選手の活躍や競技をモチーフにした漫画・アニメ、生涯スポーツとしての普及などの影響もあり、近年人気を集める硬式テニス。その競技人口は約439万人(日本テニス協会16年度推計)、14年度比で40万人増。10代の競技人口においても微増で同協会が実施した「小学生以下の子供のテニス実施状況に関する保護者調査」によると、小学1年生でテニスを始めた子どもの割合が全体の約18%と最も多く、ジュニア層への浸透が見られている。
その一方で「中学校での受け皿がほとんど整備されていない」と話すのは、衣笠中教諭の清田直紀さん。「せっかく小さい頃から始めても、中学で野球やサッカーなどのように続けられる環境がない」と高校進学までの”空白の3年”を指摘する。日本発祥である軟式テニスの普及、日本中学校体育連盟(以下、中体連)への所属の有無、指導者・顧問の不足による部活動創設が困難であること―などの理由により、全国で硬式テニス部がある中学校は1割程度。横須賀・三浦市立中学校でも未だない。競技の継続に、部活動の環境整備を求める声は多い。
こうした背景を受け、清田さんやテニスクラブコーチらが「よこすかテニス普及の会」を発足。昨年1月から市内で無料練習会を約10回実施し、地域の子どもたちが気軽にテニスに親しむ場を提供する。清田さんも普段はソフトテニス部の顧問を務めており「『硬式をやってみたい』という生徒の声に応えたかった」と活動への思いを語る。
今月9日には、対象地域を広げ、三浦市テニス協会の協力のもと、同市内の中学校で体験会を初開催した。学校に賛同を呼びかけてグラウンド利用の承諾を得たほか、ソフトテニス部に所属する生徒も参加。民間クラブのコーチが2時間指導した。同会では今後も、三浦半島の各地で練習会を定期的に実施していく方向だという。
希望者に練習機会
また、横須賀市内では「中学生になっても硬式テニスを続けたい」という生徒の新たな受け皿も生まれている。横須賀テニスクラブ代表の佐藤吾朗さんらは、NPO法人横須賀テニスプロジェクトの活動の一環として週3回、同クラブで定期的な指導を行う。今年4月から始めたもので、久里浜中や浦賀中に通う中学生ら約15人が参加しているという。近隣中学で部活化の動きもあり、同法人の石川孔紀さんは「走り出したばかりだが、続ける意思のある生徒を、市内の各地域でサポートしていきたい」と話す。
部活化に前進
日本テニス協会は先月18日に開かれた常務理事会で、中体連に硬式テニスが準加盟する見通しになったと報告。早ければ2021年に全国中学校体育大会に新競技として加わる方向だという。
公式種目として認められると、参加できる大会が増えたり、出場選手に帯同する教員の校外活動が公欠扱いとなったりと環境改善が期待されている。部活動の創設は概ね各学校の判断に委ねられ、特に担当教員の確保や指導力の不安は大きな障壁と言われる。「テニスは生涯スポーツ。地域にはシニアの愛好家も大勢おり、外部指導を仰ぐなどもできるのではないか」と関係者は話している。
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