『居酒屋おやじがタイで平和を考える』を上梓した 松尾 康範さん グリーンハイツ在住 48歳
タイと日本「食」で平和語る
○…「全品300円均一」「3000円で飲み放題・食べ放題」。街中で見かける居酒屋の看板だ。これを裏側で支えているのは安価な輸入食材。海外の生産地では、過酷な労働や農薬使用による環境破壊など、経済の歪みが数々の問題を生じさせている。経済がますますグローバル化する社会情勢でこの流れを断ち切ることはなかなかできないが、「伝えることで一石を投じたい」と、タイで30年間行ってきた農民の支援活動を1冊の本にまとめた。「居酒屋のおやじがカウンター越しに話していると思ってもらえば」と笑顔で話した。
○…大学時代にタイを初めて訪問、ボランティア活動に目覚めた。卒業後すぐ、会社員生活に見切りをつけ、寿司店で働き渡航費を稼いだ。タイ最貧地帯といわれる東北部イサーンでグローバル化に抗う農民を支援するNGO活動に参加。有機農業や地場の市場づくりを指導。日本でも広がりつつあった「地産地消」「身土不二」の概念の普及にも奔走した。搾取の構造の転換を命題とした。
○…安心して口にできる食材を求める日本の消費者を増やすこと。人々の意識が高まることで農や食の世界で危ぶまれている現実に目が向けられる。タイをはじめとするアジア諸国の経済的自立にもつながるという。課題解決のひとつとして「地産地消」「身土不二」の世界が平和を創ると疑わない。
○…京急久里浜駅至近に今から10年前、客席17席の居酒屋「百年の杜」をオープンさせた。「人と人、生産者と消費者を結び、豊かな食を守っていく」ことがコンセプト。店舗経営はタイを中心とした国際交流の延長線上にあるもので、自身の活動の実践の場としている。理想の実現と経済活動の両立。大きくすることに興味はない。
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