退位が来月に迫る天皇陛下と縁の深い人物が横須賀にいる。小原台在住で、横須賀市自然・人文博物館で館長を務めた林公義(まさよし)さん(72)。陛下のハゼ研究に長年ご協力しているひとりだ。葉山でのご静養の際には三浦半島の自然散策に同行し、研究材料の提供などを行ってきた。現在も「御用掛(ごようかけ)」として宮内庁へ出向いて対面でアドバイスするなど、半世紀にわたりご親交を重ねている。
市自然・人文博物館の前身である市博物館に学芸員として勤務していた林さんは1971年、陛下の弟の常陸宮(ひたちのみや)正仁(まさひと)様が博物館を訪れた時に上司の館長からハゼの研究者として紹介された。これをきっかけに当時皇太子であった陛下のもとへ初めて招かれ、研究について直接会話を交わした。林さんは当時の陛下を「最初から分け隔てなくとても気さくに話しかけて下さった。誠実で穏やか、言葉を一つ一つ吟味して話されるご様子から皇族というよりも研究者という印象を受けた」と振り返る。
その後も陛下が葉山へご静養に来られた時には子安の里や御用邸近くの森戸海岸などへの自然散策にも同行。同博物館に足を運ばれた時には、案内をしていたという。周りからは「まるで昔からの研究仲間と話しているよう」と言われるほどの関係だった。
研究者として全国各地に生態調査へ赴いていた林さんは陛下へ研究材料を度々提供してきた。中でも石垣島で採集した珍種で、後に国内で初、世界で2例目の発見と判明した「ハゴロモハゼ」は林さんと研究仲間が陛下へ献上し、命名して頂いたという思い出がある。その個体を陛下にお見せするととても興味深げに見入られ、驚かれていたという。その発見は陛下自ら論文として執筆し、協力者の1人として林さんの名前を載せて78年に発表した。
父親の一面も
林さんは陛下の父親としての一面が垣間見えた瞬間についても話した。「子育ての方針や勉強についてもお尋ねになり、子どもの成長を気に掛ける温かなお人柄も尊敬している」と振り返った。
現在、陛下の研究を支える「御用掛」として勤務。退位を直前に控え、例年以上に多忙な陛下の様子を近くで見守っている。「退位後は今以上にご自身の研究に没頭できるようになり、また三浦半島へ足をお運びいただければ」と話した。
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