東京電力フュエル&パワーと中部電力による合弁会社「JERA」が久里浜で進めている横須賀火力発電所新1・2号機建設の準備工事が先ごろ始まった。これに対し、反対する市民グループは署名活動や中止要請運動を活発化させている。
同計画は既設全8機を撤去し、新たに出力約65万kwの石炭発電施設2基を建設するもの。新1号機が2023年、2号機が24年の運転開始を目指す。JERAパワー横須賀合同会社は今年1月に環境評価の手続きを終えて、経済産業省からの確定通知を受け、今月から8月の着工に向けた準備工事に着手している。
石炭火力への逆風
石炭火力発電については11年以降、国内で50近くの設置計画が浮上。しかし、CO2発生量が他の化石燃料と比べて多いことから、気候変動を加速させるだけでなく、排出される大気汚染物質による健康被害なども危惧されており、計画中止を決めた事業者もある。東京湾内では横須賀を含め、千葉市(蘇我)、市原、袖ケ浦の4地区で石炭火力の計画が持ち上がっていたが「環境規制に対して採算が取れない」などとして、17年に市原、18年に蘇我、今年1月には袖ケ浦でそれぞれ撤回が決定。湾内に残る計画は横須賀のみとなっている。
一方で市などは、域内の雇用創出やそれに伴う消費拡大、税収の増加などを期待する考えもある。昨年、事業者が開いた市民向け説明会では、計画中止のほか、ガス火力への動力変更を求める声も上がっていた。
行政訴訟を検討
準備工事開始を受け、中止を求める市民グループ「横須賀火力発電所建設を考える会」は活動を加速させている。JERAへ4千超の署名を提出したほか、今月7日には現場前での抗議活動を展開。同会は、計画の実施を認めた国に対し、確定通知取り消しを求める行政訴訟を起こす考えで、今月中に手続きを行う。20日には提訴に向けた学習会を開き80人超を集めた。同会共同代表の鈴木陸郎さんは「提訴によって、市民の関心の高まりにも期待」と話した。
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