自分が思い描く理想の将来--。それに向かってどんな努力や準備が必要となるのでしょうか。知的で華やかなイメージのあるアナウンサーという職業に就いている横須賀出身の宇内梨沙さんに、夢を叶えるためのアドバイスを聞きました。インタビュアーは田浦中の中丸結咲さん、小林純名さん、長沢中の細井羽琉さんの2年生3人です。(記事中は敬称略)
細井 テレビ局に初めて訪れました。宇内さんが出演している生番組を見学させてもらいましたが、スタジオの(照明の)明るさとスタッフの多さに驚きました。
小林 私も同じ感想を持ちました。1本の番組にたくさんの人が関わっているのですね。では本題です。今日は宇内さんに「夢を叶える。そのために必要なことは何か」というテーマでお話を聞きたいと思います。私の将来の夢は検察官になることです。どんな勉強とスキルが必要となるのか、調べています。宇内さんは中学時代にどんな夢を持っていましたか。
宇内 すでに明確な目標を持っているのですね。その頃の私は「これだ」と言えるものを持っていなかったと思います。歴史が得意だったので社会科の教師、ゲームが好きだったので(ゲーム)実況者もいいな、とそんな程度。漠然としていましたね。
小林 アナウンサーの仕事を意識し始めたのはどんなタイミングでしたか。
宇内 大学の入学式で偶然、テレビ局の取材を受けました。これがきっかけで局に出入りすることになり、アナウンサーという存在を深く知るようになりました。自分の職業として考えるようになったのは大学時代ですね。
中丸 私は刀剣観賞が趣味です。2歳で手にした仏像の雑誌がきっかけで歴史に興味を持つようになりました。将来は学芸員となって国立博物館で仕事をしたいと思っています。宇内さんは学芸員の資格を持っていますね。専門分野は何ですか。
宇内 大学で美術史を専攻していました。主にパフォーマンスアートや現代アートが好みです。大学は美術史専攻で、舞台芸術つまりアートパフォーマンスについて主に学んでいました。学芸員の資格を取る上で、授業で企画展を考えてみたり、壺をハンマーで壊して復元してみたり、実技的なこともやりました。専門性を深めていく研究は大学院となるので私はそこまででした。父が考古学を学んでいて、実家の会社(宇内建設)の社屋の一角に父が師事していた赤星直忠氏の研究を展示した資料館があります。兄2人もそれぞれ美術史と歴史を学んでいます。研究者の気質が家族に受け継がれているのかもしれません。
細井 僕の将来の夢は飼育員になることです。水族館やペットショップで生き物の世話をしたいと思っています。動物と触れ合う楽しさやペットを家族に迎える喜びを、仕事を通じて伝えることができたら最高です。仕事には「社会に役立つ」「お金を稼ぐ」といった意味がありそうですが、「好きなことを仕事にする」ということについて、宇内さんはどう考えますか。
宇内 「好きなことを仕事にする」。それが一番の幸せなのではないでしょうか。幸運にも私はそれを実現することができました。でも、そうじゃない人もいますよね。仕事はあくまで生活のためで、仕事とプライベートと切り分けて充実させている方もいます。でも私は両方楽しみたい。
小林 それでは夢を叶えるために、どんな努力をしました?
宇内 一番の努力は大学受験かもしれません。志望大学に入学するために1年間、浪人生活を経験しました。中学生に現実を突きつけるような話ですが、大手企業に入社するために学歴は無視できません。自分の可能性や選択肢を広げることにも繋がります。
小林 中学生の頃に自分の将来に対して、不安を感じることはありましたか。
宇内 学校の成績ですね。優秀な兄たちの存在があり、「家族の期待に応えられない」といったプレッシャーを常に抱えていました。塾に通わせてもらってから、勉強への意識が変わって努力するようになりました。
細井 宇内さんはスポーツキャスターを務めています。素晴らしい選手と出会う機会があると思いますが、「この選手はすごい」「努力が並外れている」といったエピソードがあったら教えてください。
宇内 よく聞かれる質問ですが、世間で一流と呼ばれる選手は全員すごい! 集中力はもちろん、競技と向き合う姿勢、人格までもが素晴らしい。想像もつかない練習を積んでいます。努力を継続できることこそが才能であり、一流となる条件のような気がします。
中丸 アナウンサーの仕事をしてきた中で、一番感動した場面は何ですか。
宇内 昨年のサッカーW杯ロシア大会で、スポーツキャスターとして現地実況をする機会がありました。サランスクという田舎町にあるスタジアムで日本がコロンビア戦で金星を飾る瞬間に立ち会いました。歴史の目撃者になった気分です。日常生活では味わえない興奮を体験しました。
中丸 反対に辛かったこと、悔しかったことはありますか。
宇内 ニュース原稿の読み間違えや説明が上手にできなかったことはたくさんあります。1回のミスで周囲に「できない人」といった印象を与えてしまうので、緊張感を持って取り組んでいます。
中丸 プライベートなこともお聞きします。ゲームやアニメといったサブカルチャーが大好きだそうですね。
宇内 遅い時間帯の番組を担当していると帰宅が深夜になります。高まっている気持ちを静めるために、暗い画面のホラーゲームを淡々とやっています。自分なりのリセット方法です。
細井 学生時代に影響を受けた、または勇気をもらったアーティストや楽曲はありますか。
宇内 スキマスイッチの『ガラナ』という曲ですね。頑張ってこいよ、と背中を押してくれる歌詞が素敵です。一歩前に踏み出す勇気を与えてくれます。就職試験に臨む前にいつも聞いていました。
小林 最後の質問です。中学時代の過ごし方について、アドバイスをお願いします。
宇内 中学時代の友達を大切にしてほしいです。私は繋がりが途絶えてしまった友人が沢山いるので、ぜひ近所の友達を大切してください。
テレビの向こう側を体験
宇内さんのインタビューで東京都港区赤坂にあるTBSテレビの本社を訪れた3人は、番組の制作現場も見学しました。ニューススタジオではキャスターがニュースを読み上げる場所でカメラに映る自分の姿をチェック。原稿を持って室内を駆けまわるスタッフの活気と熱気を肌で感じました。
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