横須賀市は9月定例議会の補正予算のなかで、深田台の中央公園内にある平和モニュメントを撤去する方針を示した。設置から27年が経過し外装パネルや内部の老朽化が著しく進んでいた。公園利用者の安全性を重視し、今年度中に行うことを決めた。
市では、1984年に市議会で「核兵器廃絶に関する決議」を全会一致で可決。89年に当時の横山和夫市長が、世界の恒久平和実現を願う「核兵器廃絶・平和都市」を宣言。平和思想の普及と意識の高揚を目的に、モニュメント建設を決めた。
モニュメントは、高さ約20mのステンレス製。91年にコンペ方式で審査を行い市内出身の彫刻家・最上壽之氏がデザインした作品「ヘイワ オーキク ナーレ」を採用、92年に完成した。「核兵器のない平和の宿る天上界(宇宙)と人間の住む地上とが交流・対話のできる発信基地」を表したもの。総事業費約1億4千万円で、その財源の一部に市民の募金を充てた。
建築業者「改修は困難」
設置から27年が経過。過去に外装パネルが外れた経緯があることや、内部の点検で鉄骨部材の錆・腐食が全体にわたっていること、モニュメントを支える支柱に水が溜まり基礎周辺が著しく劣化していることなどが判明。安全管理上、撤去は止むを得ないとした。モニュメント制作者の故最上氏の遺族から「改修の可能性を検討すること」「専門家の意見を聴取すること」との意向があったことを受け、市は建築業者3社に調査を依頼。いずれも内部の腐食状況から補修による延命は困難であり、再設置する場合には既設のものを撤去して新設する必要があるとの結論となった。既設撤去費として4500万円という数字を示している。先月28日には、有識者からモニュメントを含めた屋外造形物の保存・撤去の在り方について意見聴取を実施。「市民の意見を聞くべき」「残すことが大前提だが、安全性に問題があるのであれば変わる形で保存を。新たなものは構造・環境・耐久性を考慮し、維持管理をしっかりと行ってほしい」「当時の設計図や写真などの資料を残すべき。プレートや模型の展示の検討を」などの意見があがった。
市は撤去後の計画について、「建設当時の趣旨を活かしつつ新たな形状や規模での設置を検討する」としている。
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