横須賀市教育委員会は今月4日の定例会で、3件の有形文化財を市の指定文化財に指定することを議決した。浄土寺(西逸見町)の所蔵する銅造観音菩薩立像、長島雪操筆の紙本墨画3幅、横須賀製鉄所製図工長メラング家旧蔵資料で、市の専門審議会からの答申。
市教委では12月に文化財専門審議会に3件の調査を依頼。その結果をもって指定を了承した。これで市指定の重要文化財は有形・無形等を合わせて93件となる。
浄土寺所蔵の観音菩薩立像は善光寺式の鋳銅製鍍金像で、造立年代は鎌倉時代後期ごろとされる。「中世に遡る金剛仏の遺例として国内彫刻史上で貴重」と審議会委員。浄土寺は江戸時代初期に逸見を領地とした三浦按針の菩提寺で、明確な証明はないが、この銅像は念持仏と推察されている。当時、欧州では鋳造製のキリスト像が流布しており、「按針にとって、金銅仏は親近性の高いものであったかもしれない」とした。
所蔵する同寺は指定について「これをきっかけに按針が暮らしたこの街のことや功績が広まれば」と話した。年1回、按針忌に併せて御開帳を行っており、今年は4月11日(日)に公開する予定だという。
地元名主の文人画
昨秋、横須賀美術館の所蔵品展で公開された「紙本墨画 墨梅図 長島雪操筆」の3幅。1890年前後(明治21年〜25年)の作で、直系の子孫が所蔵する。長島雪操は八幡久里浜村の名主で、書や俳句をたしなみながら文人画(南画)も多く残した。今回、指定を受けた墨梅図は独創的な雪操画の頂点に位置付けられるという。
製鉄所の資料群
横須賀製鉄所創成期の文書・図面・写真原本からなる資料群71点も新たに指定を受けた。横須賀製鉄所製図工長メラングの子孫に伝来していたもので、2018年に市が収蔵。同製鉄所の配置図や建築図面のほか、ヴェルニーと幕府役人のサインが入ったメラングの雇用契約書等の書状、当時の生活の様子を記した日記や写真、古地図類なども含まれている。「幕末明治初期の横須賀と製鉄所の歴史研究の発展に益する重要な資料」と評価された。
同資料群は収蔵時に、横須賀市自然・人文博物館で公開しており、今後も、歴史資料として活用を進めていく。
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