住友重機械工業(株)の造船所跡地「浦賀ドック」周辺部が先月26日、横須賀市に無償寄付された。市は今後、一般開放を目指すが、周辺住民のシンボル的な存在だった大型クレーンは老朽化のため同社によって地元に惜しまれながら撤去された。
造船業支えた建造物
浦賀ドックは1899年に竣工。1世紀以上にわたり、約1000隻にのぼる艦船等を製造した。当時は空を覆うかのように30mを超す高さのクレーンが何基も稼働し、活気に満ちた光景が一帯に広がっていた。
「やっぱり無いと寂しいね」。西浦賀在住の郷土史研究家・山本詔一さんは取り払われたドックに目を向ける。
ドックが閉鎖した2003年以降、山本さんらは構内の機関工場にあった来客用控え室を借り、近代産業遺産などにまつわる講演会やパネル展などを開いてきた。日本の造船業を支えた貴重な建造物として、一基だけ形をとどめた錆だらけのクレーンを市民の手で色を塗り直す話も持ち上がったが、安全面から実施されることはなかった。
「今後ドックを起点としたまちづくりを進める中で、クレーンのレールや銘板、古い写真といった資料展示など、歴史的事実を未来に残していく活動を期待したい」と山本さん。市でも国内最古級とされるレンガドックを中心に、観光的な要素を取り入れたイベントや譲渡された敷地の整備を進める方向で、民間連携を進めていく考えだ。
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